2004年3月「新しい公共をめぐって」
*コメント・URLは2004年3月当時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 今月は平成15年度の締めくくりとして「新しい公共」というテーマで気になるサイトを再チェックし、5サイトにスポットを当てた。
 既にgoodsiteに選んでいるサイトにもこのテーマに相応しい活動を行っているところがたくさんある。NPO・FUSION長池 (2001年10月)安城市IT講習会(NPO愛知ネット) (2002年7月) 、鯖江市民活動交流センターの仲間のさばえスポーツクラブ(2003年2月)などなど。
 今月のサイトでは、鯖江市民活動交流センター、ふくろうの会、高知こどもの図書館は「図書館と新しい公共」という意味で、今後の図書館運営に一石投じている。志木市の市民委員会、大和市のラブは、地域社会の運営に市民が主体的に参画する新しい公共の構築をめざす果敢な取り組みとして注目される。


【さばえNPOセンター (特定非営利活動法人 鯖江市民活動交流センター)】
http://www.sabae-npo.org/
 鯖江市民活動交流センターは2001年10月に特定非営利活動法人となり、団体活動支援事業、人材育成事業、ボランティア活動支援事業、交流事業の4本を事業の柱として活動している。鯖江市市民活動によるまちづくり推進条例の提案、みんなのフェスティバル、市図書館月曜開館プロジェクト、夢広場、NPO推進プロジェクト、 ハピープロジェクト、みらい塾 、環境フェアなどに取り組んでる。2003年6月から始まったNPOスタッフによる鯖江市図書館(蔵書数248,000冊)の月曜日オープンは全国的にもユニークな取り組みとして注目される。市の委託を受けたNPOのスタッフが、月曜日に図書の貸出し返却業務などの限定されたサービスを行う。利用者は530人〜950人おり効果をあげている。これにより図書館の休館は毎月第4木曜日の館内整理日、年末年始、年間5日ぐらいの蔵書点検日だけとなっている。また、ハピープロジェクトとは「しあわせ交換券ハピー」という鯖江型地域通貨プロジェクト。自分の「できること」をお手伝いし、自分が「してほしいとき」には、誰かにお手伝いを求め、「ありがとう」の気持ちと一緒に「ハピー」を交換するというもの。HPからプリントアウトした券にサインする自主申告制となっている。

【ふくろうの森 〜特定非営利活動法人〜 】
http://www.micity.net/fukurou/
  約10年にわたり鳴門市立図書館を中心に、読みか聞かせなどのボランティア活動に取り組んできた「モモの会」は、学校完全週5日制の全面実施に対応し平成15年度にNPO法人化、活動の拡充を図った。組織構成をみると読み聞かせ活動部、子供体験活動部、子供読書推進部、IT活動部、児童室活動部、成人読書振興部、環境整備部等があり、それぞれ日時を決めて定例的に活動している。児童室活動を例にすると「赤ちゃんと遊ぼう」(第2火曜日10:00〜11:00) 「モモの会」(第2土曜日10:00〜11:00)「四国大学生」(第2日曜日14:00〜15:00)「鳴門教育大学生」(第3日曜日14:00〜15:00)「子どもマジック教室」(第4日曜日14:00〜15:00)といった具合。また、成人読書振興部では源氏物語の原文の読書会を続けており、16年度も「桐壺の巻」(講師/橋本妙子さん)が行われる。公共図書館を舞台にしたNPO活動としては、職員の仕事と市民ボランティアによるNPOの活動がきちんと分かれ、パートナーシップが築かれている好事例といえるだろう。 

【特定非営利活動法人 高知こどもの図書館のホームページ】
http://www.i-kochi.or.jp/hp/kodomonotoshokan/
  県立図書館の移転問題を契機に、1995年高知こどもの図書館を作る会が発足。1998年県立図書館移転延期決定に伴い「施設のみ県より提供を受け運営はすべて民間で」で行う道を選択。結果的に運営主体をNPOが担う日本最初の図書館へと歩みだす。1999年3月設立総会、4月NPO法人申請、7月NPO法人認証。施設改修を経て12月高知こども図書館オープン。児童図書(乳幼児からヤングアダルトまでを対象に)を中心とする本、その他様々なジャンルの資料が揃っている。主な事業は、こどもへの直接サービス、こどもの本に関する研究、児童図書館員の専門性を高めるための活動、こどもの図書館として可能な子育て支援等。県より、建物及び光熱費、水道料などの支援を受けているが、資料購入費や専任職員の人件費などの運営経費は自前。会費と寄付金、それに巡廻企画展や研修指導などの事業収入で賄っている。県からこども図書館の運営管理を受託しているわけではない点を注目してほしい。

【志木市民委員会〜「市民が創る市民の志木市」をめざして〜】
http://love-town.net/shimin-iinkai/
 市民委員会は平成13年11月に発足。(1)企画部会(2)総務部会(3)生活環境部会(4)健康福祉部会(5)都市整備部会(6)教育部会(7)病院・水道部会(8)合併部会(9)IT部会で構成されている。部会によって活動の活発さには違いがあるが、それぞれ市の政策課題に対し、市民の立場から調査研究や検討を行い、市長への質問書、意見書、提言書などを提出している。企画部会の提言2では「地方再生計画」「規制特区構想」へのアイデア検討として、現在の縦割り行政、補助金や規制に縛られない、市民の目から見た本当に必要なサービスのあり方について教育、福祉、地方自治、の3分野でアイデアをリスト化したものを「地方再生計画」検討プロジェクト会議(各部会横断的委員会を立ち上げ)で検討、追加、変更に加え、特区構想につながる可能性のあるものをチェックし提出。また、IT部会長期ビジョン分科会では「IT化促進重点プラン〜電子マネー導入構想に関する提言書」(平成16年3月2日)を提出。教育部会学校教育班では、学校・図書館・公民館の複合施設として注目されている「いろは遊学館」「いろは図書館」の整備計画について「(仮称)志木小学校複合化施設に関する進言及び質問書」を提出しており、行政側の政策に対する市民委員会のスタンスが公開されていて参考になる。

【特定非営利活動法人ラブスサポートセンター】
http://www.yamato-loves.org/
 LOVES(ラブス)とは、ローカル・バリュー・エクスチェンジ・システム(LOcal Value Exchange System)の略で、大和市が進める市民と行政の「知・財・役」を循環させる地域電子通貨システムのこと。大和市のICカードを持つと、カードの中に市民のハートをやりとりするための「ラブ」というお金のようなものがついてくる。この「ラブ」を使うと、いらなくなったモノをもらったり、ボランティアの人にサービスをお願いしたりすることができる。NPO法人ラブスサポートセンターは、このシステムの普及推進活動を行っており、ワークショップ(勉強会)や特別講演会、地域通貨「ラブ」を使ったフリーマーケット、ラブスだより(ミニ広報紙)の発行、『LOVES元気やさいネット・やまと』(有機栽培野菜の預託販売)の運営、ラブIT講座(初級パソコン講座)開催、ラブの受け入れ店舗の拡充などでフル回転中。ラブを市民が商店で利用することにより、商店にラブが貯まる。その商店に貯まったラブの行き先としては、大和市のホームページに「商店のバナー広告を掲載すること」で循環系を構築する。生涯学習施設利用、講座受講にもこのラブが使われており、注目される。

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