日本でいちばん大切にしたい会社 PART2
*コメント・URLは選考時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 前回に続いて坂本光司さん(法政大学大学院政策創造研究科教授)執筆の「日本でいちばん大切にしたい会社」(あさ出版.2008年4月1日発行)や坂本教授の研究室で話題となっている会社より小さくてもきらりと光る企業を取り上げさせていただいた。ホームページ上の情報からは「大切にしたい会社」であることがわかりにくかった、100分の1グラムの歯車と先着順・無試験採用注目されている「(株)樹研工業」(http://www.juken.com/main.html)、75年間連続増収企業の「ジョンソン・アンド・ジョンソン(株)」(http://www.jnj.co.jp/entrance/index.html)と骨粗しょう症の高齢者のために人工関節を開発した「(株)ホリックス」(http://www.hollyx.co.jp/)は残念ですが割愛させていただいた。

 アゼルバイジャンなどでの難民視力支援活動で目を瞠るものがある「富士メガネ」。重度の知的障がい者を優先的に採用する「特例子会社ファンケルスマイル」。地域社会やこどもたちにやさしい経営の薄皮饅頭の老舗「柏屋」。図書館などで使われ出したリフト付き電動車椅子の「キシ・エンジニアリング株式会社」。子どもを検査の苦痛から救う「飲むカメラ」を開発した「株式会社アールエフ」の5社のサイトを見ていて、前回紹介した5社とともに、まぎれもない「大切にしたい会社」だと感銘した。早速、自分が必要としているメガネは最寄りの「富士メガネ」を訪問して購入したいと思う。




【富士メガネ(技術と人で海外難民視力支援活動を展開)】
http://www.fujimegane.co.jp/
 北海道を中心に東北・関東地域に68店舗を展開するメガネチェーン 富士メガネのサイト。会社概要によると同社の創業は1939年10月、樺太(現サハリン)の豊原市(現ユジノサハリンスク)に富士眼鏡商会を開設したことに溯る。よってすでに70年の歴史を有している。同社は創業45周年(1983年)を機に、スタッフがタイのインドシナ難民キャンプを訪問し、一人ひとりの視力を検査して最適なメガネを寄贈する“海外難民視力支援活動”をスタートする。翌1984年からはUNHCR(国連難民高等弁務官)事務所と連携し、ネパール、アルメニア、アゼルバイジャンを訪問。以来、27年で26回、合計11万6200人以上の人々に「見る喜び」を贈る支援活動を続けている。参加社員数も延べ128名を数えている。ホームページの視援隊ニュース特設ブログをみると、訪問先での実際の活動ぶりがうかがえ参考になる。UNHCRアゼルバイジャン事務所による要請を受け実施しているアゼルバイジャン国内避難民視力支援ミッションの活動によると、2008年の視援隊メンバーは会長の金井昭雄さんを隊長に、参加3回目となる常務の金井宏将さん(本社)、近澤 浩さん(旭川東光店店長)村上 洋さん(東札幌店店長)、参加2回目の納 早知さん(旭川本店マネージャー)、初陣の高ア美穂さん(狸小路本店)の6名。ガバラ(Gabala)とオグズ(OGHUZ)での活動を各隊員が日替わりで報告している。なお、富士メガネは2008年2月時点で、全店の従業員534人のうち、認定眼鏡士の資格取得者が294名いる技術オリエンテッドなお店なので街のメガネやさんとしてもすこぶる信頼と評判が高い。

【特例子会社ファンケルスマイル(知的障がい者雇用のパイオニア)】
http://www.fancl.co.jp/smile/top.html
 横浜にある会社で「社会問題解決企業」を目指す(株)ファンケルスマイルが障がい者雇用の促進、とくに知的障がい者の雇用を目的に設立した特例子会社のサイト。平成11年2月に設立。同年4月より事業を開始しているのですでに10年の実績をもつ。最近は横浜市が設置運営を支援するふれあいショップで飲食物の提供や地域障がい者作業所の自主製品の販売などにも職場を広げている。 業務内容を見るとダイレクトメールの封入・封緘・発送作業 、商品の梱包・出荷作業、コピーサービス、社屋内外の清掃作業、喫茶店の経営および管理、労働者派遣事業など。従業員は49名。パート(指導員等)6名、出向者社員(管理者)6名を除く37名のうち18名が重度の知的障がい者。事業方針には「障がい者を社会的弱者として守るのではなく、一人の社会人として「自立」できるように支援する事を念頭に置いた障がい者雇用を推進する」とある。前回紹介した日本理化学工業に通ずるものがある。コンテンツで参考になるのは同社で働く社員たちのリレーインタビュー「スマイルボックス」。障がい者雇用の現場でに大切なことと思われる、指導員と社員のふれあいによる信頼感の深まり、社員自らの仕事上の気づき、自分の必要性の実感、社員同士の職場のつながりづくりなどが垣間見れる。また、スマイルスタッフのページでは9人のスタッフのコメントが掲載されており、自分が働く会社や職場、仕事についての誇りと確信が素朴な声として発信されている。

【柏屋(心のやさしい子どもたちを育てる詩集の発行)】
http://www.usukawa.co.jp/home.html
 福島県郡山市にある薄皮饅頭が人気の和菓子店 柏屋。トップページに「まごころを包んで157年」とある。創業はなんと「嘉永5年(1852)。岩代国安積郡郡山宿中町本陣隣にて門前の茶屋として薄皮饅頭の製造を始める」と柏屋の歩みに記されている。カレンダーの4月19日には「春のまんじゅう祭り」とあるのでクリックしたら二人合わせて157歳の夫婦を募集し、見事該当者出ると重さ158キロの薄皮大饅頭を用意して「萬寿開き」をする、という饅頭イベントのチラシ画面となる。また、毎月1日は誰でも参加でき、できたてのお菓子が無料で食べられる朝茶会(午前6時〜午前8時)が本店で開かれている。このように柏屋は文字通り饅頭が結ぶ地域コミュニティづくりに力を入れているお菓子屋さん。その柏屋に毎月一篇さわやかな子供の詩が飾られるちょっと変わったウインド−がある。『青い窓』と呼ばれるそのウィンドーも昭和33年(1958)に誕生しており、50 年を越える息の長い活動となっている。同名の詩誌「こどものゆめ 青い窓」も)2008年5月には創刊50周年を迎えている。詩誌のオフィシャルサイト(http://www.aoimado.jp/)で520号(3・4月号)「幼児のことば」の中からたいへん素敵な詩「赤ちゃんの頃から思ってたんだよ」を紹介する。『赤ちゃんの頃から思ってたんだよ/胸には心が入ってるんだよ/知ってた?/胸には心が入っていて/心には思い出がいっぱい詰まっているんだよ/そして、思い出の中には神様がいっぱい詰まってるんだよ/だから神様を愛している人は/心に思い出がいっぱい詰まってるんだよ(本田実紀ちゃん5歳の言葉をご家族の方が書き取る)』

【キシ・エンジニアリング株式会社(障害者活動を拡げるリフト付電動車椅子を開発)】
http://www.kishieng.co.jp/
 島根県出雲市にある産業用の省力機械、ロボットの製造や医療福祉機器の製造メーカー、キシ・エンジニアリング株式会社のサイト。製品一覧を見ると電動車椅子、歩行器、立上り補助椅子、昇降座椅子、ユニバーサルアーム、入浴移動リフトなどが並ぶ。モットーは「人を助ける そんな機械を作り続けたい」。高齢者、障害者が機器を使用して如何に自力で日常生活を送ることが出来るか、身体機能を改善し最終的に社会復帰を果たすか・・・を見据えた企業活動で注目される。もともとは産業機械の設計製作からスタートしているが、1990 年に医療福祉分野の各種機器開発を開始。アメリカの人間能力開発研究所と業務提携して人工呼吸器の開発着手。やがて人工呼吸器の販売開始する。そして1997年には難病になった娘さんの生活や活動範囲を広げるためにリフト付電動車椅子を開発し、販売開始に至る。以後、島根県斐川町立図書館、古代出雲歴史博物館、熊本県大津図書館、島根県立美術館、浜田市石正美術館などに導入され、いまや座ったままで高いところにも手が届く電動車椅子リフティの先端企業となる。また、同社は積極的に中学生・高専生等の職場体験を受け入れており、近年は補助的な作業ではなく、一人一台責任を持って立ち上がり補助椅子等の組み立てを体験させている。自分の組み立てる椅子が実際に商品となることを知ると、生徒たちの顔つきが変わり、真剣そのもので組み立てに取り掛かってくれるのだとか。こうした体験が将来の夢に直結しなくても、職業に就くときの選択肢として心のどこかに留まることを社員たちは願っている。

【株式会社アールエフ(子どもを検査の苦痛から救う「飲むカメラ」を開発)】
http://www.rfsystemlab.com/index.html
 長野市にある株式会社アールエフサイト。社名は無線という意味のRadio Frequencyから頭文字をとって命名。みえないものをみせる技術である無線とCCDカメラの技術を核に躍進している。1993年マイクロ波応用製品の研究とCCDカメラの開発を主とした研究開発型企業を目指して「アールエフシステム研究所」創業。医療機器分野へ進出は思わぬところからはじまった。社長の丸山次郎さんがコードレスの無線カメラの特徴を生かした鉄道模型用のカメラを作ったところ、そこへ突然米国で働いていた歯科医が訪ねてきて、口の中を見ることができるカメラをつくってくれるよう依頼をうけた。それがスタートとなり、研究開発を進め、いまや世界のワイヤレス歯科口腔内カメラの85%のシェアを持つに至る。医療・工業用X線センサー、工業用内視鏡、カプセル内視鏡なども開発。営業的並びにマーケッティング面での理由から、とかく高度な医療機器は成人用の開発が先行し、小児用の研究が遅れているが、同社はいち早く子ども用のノーバッテリー・ワイヤレスのカプセル内視鏡、いわゆる「飲むカメラ」(長さ233ミリ、直径6ミリ)を開発し、内視鏡検査の苦痛から子どもたちを救うことに成功している。また、同社は将来の人材育成と先端医療機器の研究開発を目的とした「先端医療機器大学院大学」構想を明らかにしている。「長野をシリコンバレーならぬ、先端医療機器の供給基地“メディテックバレー”にしたい」と考えており、「工学系を習得した大卒者を対象とした3年制の博士課程」「授業料は全額無料」「卒業後の起業を前提とし、製品化から企業経営までを学ぶ」場の実現を目指している。

-UP-