クイズや自己診断などで人権学習を推進しよう
*コメント・URLは選考時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 最近のテレビ報道によれば、9月25日 佐賀市で知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた直後に死亡した問題で、佐賀県警は11月6日 聞き込みをした警察官が目撃した女子高校生から「警察官が殴った」と聞いていたことを認めた。しかし、供述調書を作成する際には殴ったという証言が出なかったため、調書には記していないと、インタビューに答えていて、釈然としない。テレビ局では女子高生からその目撃談を聞いたという複数の近隣住民の話も紹介した。そして、取り押さえたとする警察官たちは安永さんが知的障害者であったことを最後まで知らなかったと伝えている。

 人権教育をテーマにサイトを紹介しよう と準備はしていたが、なかなかエンジンがかからなかった私に、このニュースは少なからずインパクトを与えた。 今回も選定するというより私自身が学習するサイト選びとなった。政府の「はなまる人権学校」や「ふらっと 人権情報ネットワーク」の「クイズに挑戦 ためしてみよう自己診断2」は、なかなか歯ごたえのある人権教育の場だ。




【財団法人 人権教育啓発推進センター】
http://www.jinken.or.jp/
 人権関係情報データベース「スマイルネット」を運営する文部科学省と法務省の共管の公益法人である財団法人 人権教育啓発推進センターでは、社会教育分野における人権教育事業の実施状況を、実績調査、事例調査という 二つの構成で調査した報告書の公開、企業の社会的責任と人権に関する普及啓発パンフレット(経営者向け、担 当者向け、従業員向けほか)の公開及び無料配布、人権に関する図書・ビデオ・DVD・展示パネルや地方公共団体 が作成した啓発資料などを収集・整理し、幅広く提供することを目的とした人権ライブラリーの運営等、人権に 関わる有益な情報発信、情報サービス、普及啓発活動を推進している。「社会教育分野における人権教育事業の 実施状況及び事例集」は、全ページダウンロードできるほか、エリア別、課題別に実績や事例の調査データの検 索もできる。課題別では、人権全般、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV 感染者・ハンセン病患者等、刑を終えて出所した人、犯罪被害者等の人権、インターネットによる人権侵害、その 他・・・のキーワードで検索できるので、事業のプランニングをする人権教育担当者の方々にはとても役立つ。 なお、これら人権教育のキーワードについては「人権について知りましょう−初めての方のための人権ガイド」の コーナーで内容について学習できる。

【はなまる人権学校】
http://www.gov-online.go.jp/pickup/2006_07/pickup_flash.html
 「はなまる人権学校」は、政府広報オンライン・お役立ち動画一覧表<フラッシュコンテンツ>のメニューの中にある。インターネットを悪用した人権侵害が年々増加、気軽にだれもが情報発信できるようになった半面、 差別発言、いわれのない誹謗(ひぼう)中傷の書き込みが横行し、個人の「人権」や「プライバシー」が侵されて いる実情に警鐘を鳴らすとともに、被害者や加害者にならないように、具体例のコンテンツを見ながら対処方法を学ぶスタイルで、大人にも子どもにも役に立つ内容となっている。「人権学校」という設定なのですべてのコンテンツを見た人には修了証書が画面に表示される。コンテンツは1時間目:インターネットを悪 用した人権侵害、2時間目:気付いてますか?ネットに潜む罠、3時間目:○×クイズ、4時間目:もしも被害に あったら・・・・で構成されている。1時間目には、インターネット上での人権侵害の特徴、プロバイダ責任制限 法の施行(発信者情報の開示請求、被害者による削除要請)などを学び、2時間目には、書き込みによる名誉毀損、 プライバシー侵害、不当な差別的言動、差別助長行為等の例で、具体的な人権侵害について学ぶ。

【ふらっと 人権情報ネットワーク】
http://www.jinken.ne.jp/
   国連が提唱する「人権の21世紀」の実現に向けて、行政、市民、企業などが「官民一体」となって、電子空間を 活用して様々な人権問題の解決に貢献していこうという目的で設立された「ニューメディア人権機構」(大阪府/大 阪市/連合大阪/人権啓発推進大阪協議会等 21団体が加入)が運営するサイト。人権という深く重いテーマを、で きるだけ「明るく、楽しく、わかりやすく」伝える情報の発信とともに、人権侵害に悩む人たちに解決の糸口を示 し、勇気づける活動の展開を主眼としている。人権に関する情報を11のカテゴリー(相談室のカテゴリーとも連動) にわけ、最新のトピックス、イベント情報、これまでの取材記事などの情報がつまっている。「クイズに挑戦 た めしてみよう自己診断2」は、人権に関する知識をチェックし、基本的な人権知識を学習するためのクイズ教材第 2弾。各章10問、計60問の設問に答え、解説を読んで人権に関する基礎的な知識を身につけることがねらい。自己 診断は、第1章 在日外国人問題、第2章 高齢者問題、第3章 アイヌ問題、第4章 エイズと人権問題、第5章  子どもの人権問題、第6章 ハンセン病問題で構成され、各章とも構成は5問が基本問題、3問が中級問題、2問が 上級問題となっている。やってみるとなかなか手ごわい設問がつづく。

【財団法人世界人権問題研究センター】
http://www.mmjp.or.jp/jinken/index.html
 平安建都1200年を記念して、京都の歴史と伝統、特に学術を始めとする文化の蓄積を基礎に、人権問題について広く 世界的視野に立った総合的な調査、研究を行う等を目的に設立された財団法人世界人権問題研究センターのサイト。 主な事業は人権問題に関する調査、研究と国際的な学術交流の推進/人権問題に関する文献、資料等の収集と提供/ 人権問題に関する研究成果の公表のための図書の刊行、講演会の開催等。我が国を代表する人権問題の教育・研究機 関らしく「人権大学講座」「講座・人権ゆかりの地をたずねて」「ボランティア人権ガイドの養成・派遣」など、講 座プログラムの充実が際立つ。2007年度の講座のプログラムをみると「人権大学講座」は、いま気がかりな“子ども への虐待を防ぐために”から“歴史のなかの人権”まで、多彩なテーマで構成され、「講座・人権ゆかりの地をたず ねて」では、「伏見稲荷大社と渡来の文化」「杓をふる聖たち ―中世における勧進僧の活躍―」「朝鮮通信使と大 徳寺 ―国交回復の糸口―」「都の遊女たち ―その歴史とゆかりの地を探る―」「京都の中の近代日朝関係史―韓 国合併奉告祭碑と長楽館―」「中世社会における穢れと祓い」「活動写真とアナーキスト ―大正期、大衆文化の創 造―」「証言・ドキュメント「全国水平社」・・・といった興味深いタイトルが並ぶ。

【法務省人権擁護局】
http://www.moj.go.jp/
 国民の基本的人権を擁護するため、人権侵犯事件の調査・処理、人権相談、人権尊重思想の啓発活動などに関する事 務を行うとともに、常設人権相談所、子どもの非行問題などの相談、子どもの人権に関する相談、外国人のための人 権相談、女性の人権に関する相談など人権に関する相談事業を全国で推進し、子どもの人権110番、女性の人権ホ ットラインなどの施策を実施している、法務省人権擁護局のサイト。ホームページでは日常の家庭生活や学校生活の 中で得た体験に基づく作文を書くことを通して、人権尊重の大切さや基本的人権についての理解を深め,豊かな人権 感覚を身につけてもらうことを目的に昭和56年から実施している全国中学生人権作文コンテストの入賞作文が紹介さ れており、子どもたちの純粋な思いに出会うことができる。また、人権関係諸資料のページには「世界人権宣言」 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」 「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)」 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」 「児童の権利に関する条約」 (以上、外務省ホームページ上にリンク)・・・など主要な条約や政策、調査報告書な どの窓口となっている。

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