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市民の健康・医療・闘病を支援する活動 |
*コメント・URLは選考時のものです
選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)
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ビジネス支援図書館活動に続き、最近、公共図書館では闘病文庫の設置
や医療情報支援コーナーの設置に目が向けられつつある。2005年6月、東京
都立中央図書館にわが国の公共図書館としては始めて「闘病文庫」が開設さ
れた。私も視察に伺ったが、4階の医療情報コーナーの一角に約1,000冊で闘
病記が並ぶ。医科大学や病院の図書館に比べ公共図書館の医療情報サー
ビスは遅れているのは否めないが、闘病記についても蔵書はしているものの
別々の棚で提供されていた。それが都立中央が皮切りとなり、2006年6月に
は宇都宮市立図書館と同東図書館がそれぞれ約400冊で開設。鳥取県立図
書館でも7月に約900冊で闘病文庫を開設。12月19日には横浜市立中央図書館
に「医療情報コーナー」が誕生した。
こうした活動の背景には、市民の暮らしや課題解決に役立つサービスも提供しなければ公共図書館は生き残れない、とする危機感が高まっていることに加え、全国に闘病文庫を作ろうと活動している「健康情報棚プロジェクト」(2004年8月設立。代表:石井保志さん)の存在が大きい。都立中央も鳥取県立も同プロジェクトから闘病記の寄贈などの協力を得て、開設にこぎつけている。病院図書館側でも大阪厚生年金病院の患者情報室「ラヴェンダー」(http://www.okn.gr.jp/index.php/b_6_0)などが寄贈を受けている。この「健康情報棚プロジェクト」の活動や考え方については「権利としての健康/医療情報へのアクセス〜日本の図書館における実践と法的理論構築の試みとして〜」(http://www.geocities.jp/ykowatajp/y/roatmi/index.html)に詳しいので、こちらにもアクセスを。
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- 【健康ネット】
- http://www.health-net.or.jp/index.html
- (財)健康・体力づくり事業財団が運営するサイト。健康の増進・体力づくりに関して、一般の人に役立つ情報のほか専門家にも役立つ情報を発信している。主なメニューは「健康づくり情報」(栄養・食生活、身体活動・運動、休養・心の健康、たばことお酒、歯の健康、糖尿病・肥満、脳卒中と心臓病、がん、医療、生活と健康、高齢者の健康と介護など)、「健康クラブ」(健康評価や生活習慣の改善を支援するプログラム。入力したデータをもとに健康状況を分析し、具体的なアドバイスをする)、「最新たばこ情報」(たばこのリスク、規制、禁煙プログラムなど)、「労働安全衛生情報」(職場のメンタルヘルス、VDT作業のための労働衛生など)、「健康マップ」(市町村ごとや都道府県ごとに受診事業の進捗状況などを比較できる)、「健康増進施設情報」(温泉利用プログラム型健康増進施設、運動型健康増進施設、運動療法施設)、「運動指導者情報」(健康運動実践指導者や健康運動指導士等の養成講習会、特別講習会)など。姉妹サイトの健康日本21(http://www.kenkounippon21.gr.jp/)では「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の「趣旨」、「基本的な方向」、「目標」、「地域における運動の推進」などについての概要解説や各分野の数値目標を掲載している。
- 【闘病記ライブラリー】
- http://toubyoki.info/index.html
- 次々に連想することが可能な検索システムの開発者・国立情報学研究所の高野明彦教授らと公共図書館などに闘病記専用のコーナーを設ける活動を続けている研究グループ「健康情報棚プロジェクト」(代表:石井保志さん)が協力して立ち上げたサイト。運営はNPO法人「連想出版」。現在約700冊の闘病記が登録されていて約200の病名から本を探すことができる。
トップ画面のがんT、がんU(消化器)、がんV(小児・女性)、脳、神経、心、骨・筋肉、血液、皮膚、小児、女性・男性、その他・・・の12テーマから「血液」を選択すると白血病、血友病、エイズなど血液に関わる「病名一覧表」が表示され、そのなかから「エイズ」を選択するとエイズの闘病記の本の背表紙が並ぶ。さらに「エイズを生きる」など背表紙を選択するとその本の表紙、目次、帯、概要、裏表紙、奥付などが見れる。人間が図書館や書店で本を探したり、手にとって内容を確認したりする実際の行動と同様な感覚で本を選んだり、めくったりできる優れたシステム。また、各図書はWebcat Plus(全国の大学図書館等の蔵書の総合目録システムなどをが連想検索するサイト)にナビゲーションされていて、こちらへ飛ぶと、書誌情報が表示され、実際に蔵書している大学図書館の住所・利用案内が見れる。病気や治療法で悩んでいる人が闘病記と出合って、病気に立ち向かう勇気をもらうケースは多いので、このサイトの意義は大きい。
- 【万有製薬 ビデオ図書館】
- http://www.so-net.ne.jp/vivre/video/banyu/
- 高血圧治療薬、喘息治療薬、骨粗鬆症治療薬、男性型脱毛症用薬などを開発・販売している万有製薬(株)が運営するサイト。病院等の医師や医療従事者を対象としたビデオの貸し出しも行なっているが、このサイトでは一般に向けて、病気や治療に関する医科大学の教授や病院の医師など専門家による講義、以下29講座(各20分〜25分)を公開している。「間違っていないか高血圧の知識−静かなる殺人者−」「心臓病の危険信号」「狭心症・心筋梗塞でも生き生き元気に」「腎不全 I−進行を遅らせるために−」「腎不全 II−正しい食事療法のために−」「糖尿病が家にやって来た!」「Aさんの健康を探せ−こちら痛風探偵団−」「胃と十二指腸」「いたわろう あなたの膵臓−膵臓のことがよくわかる話−」「肝臓病の確かな知識」「マル秘便秘物語」「生活習慣病の予防は肥満の解消から」「成人病にならない食生活」「お酒と上手に付き合うために」「骨の生まれ変わりを知る旅へ−骨粗しょう症の話−」「骨粗鬆症にならないために・・・」「骨粗鬆症ってなあに?」「よくわかるリウマチのお話」「腰痛を解消するために」「肩こり・五十肩」「目にご用心」「わかりやすい ぜんそく」「花粉症 これで安心!」「増えて来た大人のアトピー性皮膚炎」「前立腺肥大症は恐くない! 」「覚えておきたいがん知識」「不眠症のあなたへ」「ストレス解消は生活習慣病予防の決め手」「頭痛に強くなる!」
- 【Web患者図書館(日本病院患者図書館協会)】
- http://www.jhpla.jp/
- 日本病院患者図書館協会(JHPLA:会長 菊池 佑さん)が運営するサイト。2004年1月、日本初のインターネット上の患者図書館(Web患者図書館)としてオープン。運営は医学と医
療について毎日勉強している図書館司書が担当。検索ページでは書名、著者名、キーワード検索などで健康法、病気の解説や治療法などについて、一般向けの「医学書・医学雑誌・新
聞記事」を検索できる。患者は単に病気の治療だけでなく、生活や精神面でも悩みを抱えている場合が少なくことからWeb患者図書館では幅広い情報を収集しているという。 同協会は
1974年から全国の病院に、教育・文化・医療情報サービスをする患者図書館を設置する運動を続けている。当初は一般書や娯楽書が提供する情報の中心だったが、インフォームドコン
セントやセカンドオピニオンが診療と並んで医療サービスには重要、とする社会認識や要請が強まるなかで、患者図書館の運動も医療情報(医療文献情報)の提供が重要性を高めてお
り、協会の活動も患者図書館の設立の支援や情報提供サービスに加え、患者図書館を担当する司書の研修にも力を入れている。また、2005年1月、東京都港区芝大門に予約制だが誰でも
無料で利用できる「いのちの図書館」(健康医療情報図書館)を開設している。
- 【あすなろ図書館(静岡がんセンター)】
- http://www.scchr.jp/
- 静岡県立静岡がんセンターが運営するサイト。あすなろ図書館は、2002年に日本初の専任司書担当を配置した患者図書館として開設。医療情報コーナー、一般書コーナー、視聴覚コーナー、インターネットコーナー、くつろぎのコーナーがあり、患者や家族だけでなく一般にも開放され、図書や映像資料の貸出しもしている。インターネットで公開されている「医療・健康・福祉資料リスト」には、現在「がん」「がん以外」「医学全般」「患者・遺族の支援」「闘病記・ドキュメンタリー」「雑誌」「ビデオ・DVD等」など、約2100件の情報が登録されている。「静岡がんセンター編集ビデオリスト」には、平成16年と17年に職員が実施した「市民一人ひとりのがん対策」「医療の現場から生きることを考える」「がん医療を受けるとき−必要な知識と心構え」「がん検診の上手な受け方〜画像診断を中心に〜」「内視鏡検査の上手な受け方」「がんの顕微鏡診断−ミクロの世界」など県民の日 市民公開講演会、市民公開講座の掲載機記事とそこで寄せられた質問と回答が公開されている。リストの分類をひとつづつ見ていくと患者図書館ならではの興味深い内容が詰まっている。これらを収録したDVDやビデオは貸出しはしているが、残念ながら現時点ではインターネット公開はされていない。
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