しごと力をつけるのに役立つテレビ番組サイト
*コメント・URLは選考時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 時間的にも精神的にも人間が生きることにおいて、仕事が占める世界は大きい。職業生活や仕事に充実感があるかどうかは人間の永遠のテーマである。経済情勢が好転に転じ、団塊の世代の大量退職が想定される2007年問題もあって、若者の求人や採用は大幅に改善する動きを見せているが、若者にとって自分がどういう企業や仕事に進むか、その選択は依然悩ましい。近年は「就社」ではなく「就職」という意識が重要ともいわれている。会社の名前や規模ではなく、そこでどういう仕事がしたいかが重要というわけだ。

 昔、日航機が群馬県の御巣鷹山に墜落した時、テレビ局に”暮らしぶり”をインタビューされた地元の人々は、「山の手入れや農作業が仕事」で「都会の工事現場で働くのは稼ぎ」だと答えていたシーンが今も印象的だ。幸福感のある人生にはライフワークとも思える仕事との出会いが必要であり、かつ生活していくにはお金も稼がなければならない。人はその2つを同時に実現できる職場や仕事を求める。ただし、それがどんな形なのかは人それぞれであり、人の仕事ぶり、働きぶりを見て学ぶ要素も多い。そんなことで今回はしごと力をつけるのに役立つと思われるテレビ番組の中から気になる5番組のホームページを取り上げた。




【あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑】
http://www.shokuiku.co.jp/
 NHK教育テレビ(3チャンネル)が社会へ出ることを考え始めた10代後半〜20代前半の若者を対象に放送している番組のホームページ。番組のスタートは2004年4月。HPによると『さまざまなジャンルの職業を紹介し、その特徴や魅力について考えてもらう“仕事ガイダンス番組”』で『実際の職場で働く人たちが、具体的に仕事のどんなところに打ち込み、どんな点に気をつかい、自分の仕事についてどんな思いを抱いているのか…。』など仕事の中身や舞台裏を見せる。また『同世代の人たちが働く現場をVTR取材しながら、仕事のディテールに迫り、若い世代が現場で感じている「働きがい」や、尊敬する先輩など仕事の“達人”の技や主人公との関わりも取り上げ、仕事の醍醐味や奥深さも描き出していく』。2004年の4月5日の第1回放送の「美容師」から2006年7月10日放送の「地方記者」までで90の職業・仕事を紹介している。2006年1月30日放送のNo70「社会起業家」を例にコンテンツの構成をみると 「社会起業家とは?」「全国の状況・今の状況」「どんな人が向いてるの?」「社会起業家になるには?」「どうすれば社会起業家に?」とまとめられている。 放送時間は毎週月曜日19:30〜19:55。再放送は毎週金曜日24:00〜24:25。

【ビジネス未来人】
http://www.nhk.or.jp/miraijin/
  NHK名古屋放送局の番組の「ビジネス未来人」のホームページ。キャッチフレーズは『”半歩先の未来”へ・・・・ビジネスをどう変える? 新時代をひらく”人”に迫る経済情報番組 いま名古屋から発信!!』とある。過去の放送内容を見ていると、昔ながらの駄菓子屋が次々と姿を消していくなかにあって、駄菓子屋をインターネットに復活させ、密かな人気を呼び、年間4000万円を売り上げたという「ネットで復活 懐かしの駄菓子屋」(4月7日放送)。お年寄りの足として活躍する排気量50ccの一人乗り自動車、通称「ミニカー」を手がける社員たった7人の町工場を取り上げた「こだわりの小さな自動車」(4月21日放送)。とかく仕事場にこもりがちな職人たちをフリーマーケットにかり出し、直接客の声を聞くことで、商品開発や売り上げアップのヒントをつかんだという「客の声を聞け 職人たちの挑戦」(6月9日放送)。経営の厳しい鉛筆メーカーの経営者が製造工程で出る大量おがくずのリサイクルに挑んで工作用の粘土を開発し、年間50万個を売るヒットとなったという「リサイクルが鉛筆を救う」(6月23日放送)・・・など経済情報でもあるが、むしろ登場人物の物事の考え方、仕事の仕方がユニークで参考になる。放送はNHK教育テレビ毎週金曜日22:25〜22:50。再放送は総合テレビ毎週月曜日、教育テレビ毎週金曜日 。キャスターはジャーナリストの三神万里子とアナウンサーの廣田直敬。

【プロフェッショナル 仕事の流儀】
http://www.nhk.or.jp/professional/index3.html
   2006年1月スタートのNHK総合テレビの番組「プロフェショナル 仕事の流儀」のホームページ。中島みゆきの主題歌も話題になった「プロジェクトX」は、困難に立ち向かい、諦めずに努力してやがて成功を手にした人間たちにスポットを当て人気を呼んだが、局の内外から、ややクサイ人間ドラマに流れたとする評価も見られた。本番組は「今と未来を描くドキュメンタリー」とか。毎回、各界の現場で活躍する仕事人が登場。現場に密着した取材VTRと、本人をスタジオに招いての徹底インタビューでプロの仕事の流儀やその仕事に欠かせないこだわりの道具とその使い方、効果等を紹介。また、後輩の指導や若手の育成方法についてもカメラは現場を徹底的かつ冷静にに追う。「し烈な競争や成果主義、ニートの急増など、日本人の仕事をめぐる状況が大きく変わりつつある今だからこそ、プロフェッショナルな人々の姿を通して、仕事の奥深さ、働くことのだいご味を伝えたい」という。経営者、パティシエ、医師、左官、弁護士、科学者、建築家、ベンチャー、デザイナー、教師、商品プランナー、ゲーム開発者、料理人、棋士など多様な仕事人が取り上げられている。放送は毎週木曜日22:00〜22:44。再放送は総合テレビが毎週月曜日16:05〜16:49と毎週木曜日01:10〜01:54。BS2が毎週水曜日17:15〜17:59。キャスターは脳科学者の茂木健一郎。

【ガイアの夜明け】
http://www.tv-tokyo.co.jp/
 テレビ東京系列で毎週火曜日の22:00〜22:54に放送している日経スペシャル「ガイヤの夜明け」のホームページ。番組紹介文によるとガイアとはギリシャ神話に登場する大地の女神。この番組タイトルには、地球規模で経済事象を捉えることで21世紀の新たな日本像を模索すること、そして低迷する経済状況からの再生= 「夜明け」を目指す現在の日本を描くという意味合いが込められている、ということだ。2002年4月14日の第1回放送の「金融再編の現場!頭取の決断は?」からすでに4年を越え、7月11日放送の「迷惑駐車は消えたか〜ママさん監視員の1ヵ月〜」が第220回となった。新しいビジネスや変節期のビジネス、注目度の高いビジネスなど、毎回、日経新聞(協力)ならではの視点が感じられ、ビジネスの企画や仕事のアイデアなどのヒントになる。働き者で研修や研究の時間が取れないビジネスマンの仕事力向上にもお奨めだ。HPの「キーワードで読むガイアの夜明け」のコーナーには、過去の番組に関する「監修者 中島洋の深読み」というコンテンツがあり、ポイントを簡潔にまとめたコメントとデータ一覧は放送番組を見損なった人にも役に立つ。再放送は毎週金曜日午前10:00〜。案内人は俳優の役所広司。                                                      

【カンブリア宮殿】
http://www.tv-tokyo.co.jp/
 テレビ東京系列で毎週木曜日の21:00〜21:54に放送している番組のホームページ。2006年4月17日「トヨタ26万人の人事戦略」(ゲスト:トヨタ自動車 張富士夫 副会長)が第1回。毎回スタジオに呼んだゲストとメインインタビュアー、サブインタビュアーとのトーク、ゲストとスタジオの観客100名との質疑を通じて、ゲストの人物像・人生観、ビジネスや仕事への取り組み方、今の仕事を志した理由やきっかけ、仕事の奥義などを引き出す。番組案内によると「カンブリア紀」とは今から約5億5000万年前に「カンブリアの大爆発」と表現される地球生命の歴史上の大変革が起き、“多様な生物”が、一斉に地球上に出現した時代のことで、未来への進化を担った時代。そして、今が人間社会にとってのカンブリア紀、という設定。「クラブ・アノマロ」へ会員登録すると番組の収録がインターネットで視聴できる。ゲストは大企業、町工場、ベンチャー企業、ITベンチャー、プロダクション等々の経営者が多いが、注目される政治家、元教師、建築家、元特捜検事なども光る。ビジネスや事業のヒントというより、仕事や社会人としてのコンピテンシーに着目しているようにも感じられる。ゲストのタイプやテーマとスタジオの観客の組み合わせの妙が注目される。インタビュアーは作家の村上 龍とタレントの小池栄子のコンビ。

-UP-