ブロードバンド時代ならではの様々な学習コンテンツ
*コメント・URLは選考時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 今回は、それぞれ特徴のある5つのサイトを選んだ。「”情報モラル”授業サポートセンター」はマトリクス上にコンテンツへのアクセス機能がデザインされていて感心した。これなら誰でも見たいコンテンツにたやすく行きつくことができる。「親学のススメ」は教育委員会生涯学習課のコンテンツとしては時代を先取りしていて画期的か。いまや最重点政策に躍り出た「こどもの安全」という側面からも、親の役割はたいへん大きいので、このサイトの存在価値はますます高まると期待される。「愛work eラーニング」は体験してみるとま だ、eラーニングとしてこなれていない部分もあるが、全国・誰でも利用できるという懐の暖かさを評価したい。この手の取り組みには無料であっても、意外と地域制限や年齢制限や期間制限があるものだ。

 「ポリスチャンネル」はNPO法人が、犯罪防止や非行防止、治安の確保などをテーマにしたビデオを募集して、映像ライブラリーを構築している活動として注目される。いろんな分野でこうした専門ライブラリーがネット上に出来てくるのは楽しいし、たいへん意義深いことだと思う。「ふるさと情報局」は、2003年12月のgoodsiteで紹介した有限会社プリズムの活動の流れをくむものだが、短い時間のなかで図書館の活動をよくまとめて紹介しているのに驚いた。これはまさしく住民ディレクターという名の図書館職員ならではの仕事と言えるのでは。


【”情報モラル”授業サポートセンター】
http://sweb.nctd.go.jp/support/index.html
 「情報モラル指導のための授業実践事例」に関する調査研究委員会 (委員長:井口 磯夫 十文字学園女子大学 教授 )のサイト。企画・監修は文部科学省初等中等教育局。制作は財団法人 コンピュータ教育開発センター(CEC)。「情報モラルの指導」に関する授業の実践を動画で見ることができる。事例は縦軸にインターネットの機能(チャット・掲示板、WWW、メール、その他)が並び、横軸に情報モラルのテーマ(個人情報保護:16事例、ネチケット:30事例、セキュリティ・ウィルス:16事例、著作権:15事例、その他:15事例)が並ぶ。インターネットの機能と、そこで問題となるモラルがマトリクスに整理されているので、知りたい授業事例にきわめて簡単に辿り着ける。たとえば「www」と「著作権」がクロスするマスをクリックすると「情報発信の責任」単元名:「著作権・ネット犯罪について」というページ飛び、指導目標(1)情報を発信する際に生じる責任(特に著作権・情報モラル)について考えさせる。 (2)情報化の進展による問題点について考えさせる(ネット犯罪)。 (3)生徒が自ら状況を理解し、正しい事を判断し、正しく行動する態度を育成する・・・という長野県白馬高等学校の久保田弥生先生の授業に案内され、授業を動画で体験できる。

【親学ノススメ(名古屋市教育委員会)】
http://www.manabu.city.nagoya.jp/
   名古屋市教育委員会事務局 生涯学習部 生涯学習課が運営するインターネットで親学を学ぶサイト。「親学とは」「親学関連講座」「MY親学」「家庭教育テレビ番組」「幼稚園の子どもたち」「親度チェック」「子育て相談機関窓口」などのメニューで構成されている。ここでいう「親学」とは、子どもにとって親はどうあるべきかを考え、子育ての責務やその楽しさなどについて学ぶというもの。子どもたちの成長の段階に応じて必要となる親の役割や家庭のあるべき姿を取り上げ、親としての教育的な配慮が例示されている。年代別親学関連講座では、「幼児期/小学校低学年」「小学校中・高学年」「中学生」・・という各年代ごとに、「しつける」「ふれあう」「夢を育む」「命と人権」「地域社会」の各ビデオクリップ(約90秒)と「親度チェック」が用意されている。また、「MY親学」では、現在は妻、母、キャスターの三役をこなす元TBSのスポーツキャスター・木場弘子さんの体験談「子育て中のみなさんへ」(1.子ども時代から、就職、結婚、母になるまで/2.母親一年生からワーキングマザーへ/3.子育ての大切なポイント・・で構成)が動画(各約12分)で公開されて いる。元プロ野球投手の与田 剛さんの奥さんという木場さんが、小学生時代からテレビの仕事を夢見て、中学校では放送委員・・と夢に向かってがんばった人生を熱く語っている。

【愛work eラーニング(愛媛県若年者就職支援センター)】
http://e-learning.ai-work.jp/JP/Index.do
   愛媛県若年者就職支援センターが実施しているeラーニングコーナー。2005年からスタート。無料体験メニューもあるが利用者登録すれば全国どこからでも、誰でも無料でフルコンテンツが学習可能。現在開講している学習コースは1.ビジネスマナー講座(「ビジネスマナーとは」「好感の持てる挨拶でコミュニケーションを深める(その1)」「好感の持てる挨拶でコミュニケーションを深める(その2)」「来客応対の基本パターン」「身だしなみの大切さ」「感じの良い電話応対」「ビジネスツールでコミュニケーション」「なぜ報告が大切 か」)。2.就職試験対策講座(「自己PRの大切さ」「履歴書作成のポイント」「職務経歴書(自己PR書)・添え状作成のポイント」「面接突破のポイント」「面接当日の注意点」「やってはいけない面接のタブー」「面接に成功するための話し方」「面接の事前練習」)。3.営業力基礎講座(「営業職としての基本について」「訪問する際の注意点」「商談の基本(その1) 」「商談の基本(その2)」「クライアントへの売り込み(その1)」「クライアントへの売り込み(その2)」)。販売職基礎講座(「電話でのお客様応対の基本」「接客の流れ販売に必要なヒアリングの練習」「接客の知識を身につけよう」「商品紹介の練習」「店内販売の基本(その1) 」「店内販売の基本(その2)」)の4コース。各コースとも各単元の終了後に簡単なテストが設けられていて、クリアしないと次の単元に進めない。2006年度には新しい学習コースが追加される予定。

【ポリスチャンネル】
http://www.police-ch.jp/
 NPO法人POLICEチャンネルが運営するサイト。ここでは良好な治安の確保に寄与することを目的に「市民の防犯意識や規範意識の高揚に資する映像コンテンツ」、「青少年の非行防止と健全育成に資する映像コンテンツ」、「未解決事件の捜査に資する情報提供を一般市民に訴える映像コンテンツ」等を広く募集するとともに、インターネットやテレビを通じて広く国民に提供する活動を推進している。本サイトは2005年2月4日にオープン。以降、2005年12月20日までに「ビデオライブラリー」「犯罪被害にあわない為に」「あなたの安全安心ニュース」等のページから100本余りの動画を発信している。昨年11月末までの各動画の1日平均視聴数をもとに順位を付けたビデオ視聴ランキングのベスト10見ると、1位は「なくせ!ストーカー!」で1日平均視聴数は621件。 以下、2位:Walk Together!(法務省保護局)、3位:だいじょうぶですか?あなたの車(奈良県警察本部)、4位:老後の金は渡さん!(東京都消費生活総合センター)、5位:青春の1ページではすまされない!!(静岡県警察本部)、6位:実録!全国白バイ大会(POLICEチャンネル)、 7位:YES TO LIFE 薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」(麻薬・覚せい剤乱用防止センター)、8位:防犯性能チェック!「ガラス防犯性能実験」(POLICEチャンネル)、9位:ある少年の死〜後悔する前に君達へ〜(広島県警察本部)、10位:ダメ。ゼッタイ。「薬物乱用SOS!」(麻薬・覚せい剤乱用防止センター)の順。防犯や非行防止、治安確保といった特定行政分野にセグメント化された教育・情報チャネルとして注目される。

【ふるさと情報局(KAB熊本朝日放送)】
http://www.kab-furusato.com/index.html
 毎週金曜日午後5時35分から放送している地域の人たちとキャッチボールする手作り番組「ふるさと情報局」をライブラリー化してインターネット公開している。新しく誕生した市町村にスポットをあてた「まちの夢ぐり」では合併に伴い保存が危ぶまれている各地の伝統芸能などの紹介にも力を入れて好感が持てる。地域の人たちが身近な話題を伝える「新発見伝くまもと」は、いまや全国の市民メディア関係者にも注目されている「住民ディレクター」が企画・取材を担当。2月17日の放送の「熊本県点字図書館」の活動について・・・では開館35周年を迎えた熊本県点字図書館の施設や資料の紹介。様々なボランティアが関わって作成される録音図書、点字図書やボランティア講習会の紹介、視覚障害者のパソコン研修等がレポートされている。一般県民にはなかなか見えない点字図書館の様々な活動が情報発信されている秀作だ。また、1月27日の放送の熊本県立図書館の“出前”図書館について・・・でも、昨年6月からの出前図書館車(配本協力車)による活動を、図書館員自らが取材し、紹介している。出前図書館車は県内76箇所の図書館、公民館、養護学校などを回って、1箇所につき1回100冊づつ配本・回収しながら、かつ人のネットワークづくりの最前線の役割も担っている。新設された素敵な町立図書館、老人憩いの家に隣接した町立図書館、夏休み中の図書館等、地域の図書館の様子や12月に図書館員を対象にした開催した「布の絵本手づくり研修会」等の様子など、暮らしに中の生き生きとした図書館活動が共感を呼ぶ。

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