2004年12月 「中高生から社会人まで職業ナビゲーション」
*コメント・URLは選考時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 今月は中高生から大学生・若年社会人まで、職業や職種に関する興味を喚起する情報をブラウジング、実践的な学習コンテンツや適性診断ツールの提供サイトについて改めて調べ、5サイトを選定した。

 経済産業省の「ジョブカフェ事業の中間評価・3ヶ月経過時点の事業評価」 (http://www.meti.go.jp/policy/economic_industrial/gather/eig0000004/index.html)によると、各ジョブ カフェで適性・適職診断やカウンセリング、就職活動や社会人としての基礎能力に関するセミナーやワーク ショップなどにより、就職活動に及び腰だった若者が、アクションを起して就職に結び付くケースが確実に増 えているという。このことは、就職や職業を選択するということは人生のなかでも、かなりプレッシャーのか かることだから、もっと親切に後押してあげる社会的なシステムが重要ということを裏付けている。また、そ れだけ若者の将来に対する不安は、社会の成熟とともに増加しているともいえる。

 インターネットで企業のページを見ていると、すでに2006年度の新卒向けエントリーサイトが設けられ、 採用活動のスケジュールや職種、求める人材像についての情報が公開されている。求める人材像としては概ね 「主体的に仕事をして、自ら事業を拡大していく、そうした仕事への取り組みを通じて自分を成長させていく ような、チャレンジ精神旺盛な若者」といったような言葉がちりばめられている。それでは、そういう若者は どうすれば育てることができるのだろうか。大学等の教育機関には何がかけているのだろうか。学校教育以外 の社会教育や地域活動の分野でできることは何か。

 各サイトの創意工夫した情報提供を通じて若者が自分に必要な情報に出会い、勇気や元気を得る。そんな 職業やしごとの情報や若者をエンパワーメントとする学習コンテンツを、今後ますます拡充されていくことを 期待したい。


【Benesse教育研究開発センター】
http://www.view21.jp/
 小学校から大学までの教育課題の解決に向けた調査・研究、情報提供を行うベネッセ教育総研のサイト。コ ンテンツは教育情報誌「VIEW21」(小・中学校版 年3回、高校版 年6回発行)、教育調査・情報レポート、 関連リンク(ベネッセが行った各種調査結果へのリンク等)で構成されている。小学校、中学校、高校、大 学・短大向けの入口もあり、大学・短大向けコンテンツには教育情報誌「Between」((株)進研アド発刊)の一 部も公開されている。キーワード一覧には「キャリア教育」「仕事観・職業観」がある。中学校のキャリア教 育には、仙崎武(文教大学名誉教授)と村上龍(作家)の対談。実践事例 埼玉県大井町立大井東中学校の「3 年間を通して体系化された勤労観・職業観育成の指導」。石川県松任市立北星中学校の「道徳を中心とした横 断的な指導が、生徒に夢を持つ続ける力をつける」など。大学・短大のキャリア教育では「キャリア教育再 考」シリーズや「企業が求める人材像」「学生の仕事観とキャリア教育」など実践や調査に基づいた読み応え のあるレポートが並んでいる。小中学校における総合的な学習の実践状況調査より総合的学習のあるべき姿を 提案した報告書「21世紀型学力を育む総合的な学習を創る」(2002) の小中学生の「生きる力」自己評価も興 味深い。

【未来の仕事を探せ 将来の仕事なり方完全ガイド(学研)】
http://kids.gakken.co.jp/campus/shinro/
   学研が提供している中高生向けの職業情報サイト。「仕事相性度チェック」は診断テストで自分がどんな仕 事に向いているのかチェックされ、具体的な職種や職業に案内され「こんな人にぴったし」「なれるチャー ト」「なるためのポイント」「こんな仕事」「将来はこうなる」「データボックス」(待遇、勤務条件) などの情報が提示される。また、検索機能として「タイプ別検索」(職種別、興味あるジャンル、働く場 所、自分のタイプ、休暇、結婚後の働きやすさ)、「50音検索」(94職種)、「資格が必要な仕事」(63職 種)があり、簡単で自分の趣向性も加味して仕事情報をブラウジングできる。特長は女子ユーザーを意識し ているのか「結婚後の働きやすさ」や「結婚しても続けられるか」といった内容をフォローしているところ か。特集の「しょくぎょうしらべナビゲーション未来の仕事を探せ」では、キャビンアテンダント、シャチ のトレーナー、ファッションデザイナー、テレビ番組のディレクター、音楽教室の先生、ロボット開発者、 NGOの仕事、新しい清涼飲料水の企画開発、和菓子職人・・・などの仕事について先輩が登場して紹介している。

【職業図鑑】
http://www.aaaaaa.co.jp/job/
   「職業図鑑」は主に高校生を対象とした約500種の職業に関する職業別、職種別の関連リンク集。インターネ ット版職業ガイドブック。掲載されていない職業をリクエストすると更新時に追加される。コンテンツはそれ ぞれの職業内容、必要な資格、職業に就くルート、職業に就いている人、その職業に関連するサイトのリンク 集、その職業に就くために適した学校などで構成されている。キーワード検索、職業一覧(分類順)、職業一 覧(職業名順)、カテゴリー検索、カテゴリー詳細検索、パワーモード検索など職業検索メニューが豊富なう え、注目の職種、専門分野系の職種など目的別検索もあり、詳細な職業分類により職業情報を入手することが できる。因みに「環境・バイオ・動物・フラワー・自然」業種をみると、犬訓練士、気象予報士、ビオトープ 管理士、樹木士、森林インストラクターなどの職種が並ぶ。企画・制作・運営はWebサイトの制作や構築の Asix japan。

【就職対策サイト「EXjob(エックスジョブ)」】
http://www.exjob.jp/2006/
 文化放送キャリアパートナーズが運営する大学生向け就職支援サイト。「就活パーフェクト塾」、「内定者 サポータ」では、具体的な企業に就職した先輩の就職活動や内定した人のホットな活動が紹介されていて、 これから本格的な就職活動に取り組む学生を勇気づける。また、会員登録するとコンピテンシー診断、コン ピテンシーマッチ、自己+他己チェック、 内定力チェックなどが受けられるほか、 就職Q&A、就職ラーニ ング講座など学習コンテンツも充実している。本サイトのコンピテンシー診断は、受診者の「よく発揮 されているコンピテンシー」と「発揮されていないコンピテンシー」を知ることが出来、コンピテンシーにマッチした 職種・企業が紹介される。また、受診者の志望企業を昨年同時期に志望した先輩が「よく発揮したコンピエンシー」が何かも 見ることができる。受診者と類似したコンピテンシーをもつ先輩からのメッセージが受け取れる充実したサービス体系があることが特長。

【無料適性診断(ワークスキルチェック)(人材バンクネット)】
http://www.jinzai-bank.net/edit/view.cfm?disp=pr000050101
 人材バンクネットが運営するサイトのなかにある若年者向け適性診断サイト。人材バンクネットでは、知識・ 技術・技能・資格など学習・経験によって習得される「ジョブスキル」、個人が潜在的に有している特異な 能力(いわゆる「向き・不向き」であらわせる潜在スキル)「ワークスキル」のうち、「ワークスキルチェック」に ついて無料診断している。80問の設問を回答すると、5つの個性決定因子とストレス値を測定し、レー ダーチャートで表示される。5つの因子とは「凝縮性:ある価値観にこだわる因子、思い込みの強さ」「受 容性:外部の状況を積極的に受け入れようとする因子」「弁別性:都合よく、白黒はっきり割り切ろうと する因子」「拡散性:積極的に自ら動こうとする因子」「保全性:環境に対して協調的な特性を示す因 子」。また、「気まぐれタイプ」「我が道タイプ」「気配りタイプ」「コツコツタイプ 」の4タイプの面接官を 想定したアドバイスがあり、自分の向き不向きの把握とその対策の参考となる。

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