2002年11月「情報デザイン」  
*コメント・URLは2002年11月当時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 11月のgoodsiteは「情報デザイン」という視点から、それなりに技術やお金をかけ、デザインからコンテンツまできちんとつくり込んでいるサイトを選定してみました。

 独自の映像コンテンツに他のサイトの情報を関連づけすることにより、利用者の潜在的な要望や多様な興味を先取りすることができる、というヒントがここにあります。図書館や生涯学習センター等の生涯学習関係機関の「情報デザイン」にもとても参考になるのではないでしょうか。

 とくに動画コンテンツが発信しやすくなると、ビデオ収録した講座などをサーバーに蓄積するだけで済んでしまうため、コンテンツが貧弱になる傾向があります。リンク機能を利用して、情報をデザインする工夫や努力を心がけることが、利用者の定着やリピーターの獲得につながるのではないでしょうか。

【gooブロードバンド】
http://bb.goo.ne.jp/
 本サイト(NTT-Xが運営)はエンターテイメント、ニュース、カルチャーで構成され動画コンテンツがふんだんに楽しめる。中でも特集企画「歴史映像展〜日本が震撼した日〜」は、第1回よど号ハイジャック事件、第2回浅間山荘事件、第3回戦後最大の誘拐事件、第4回ロッキード事件の4つのコンテンツがあり、ニュース映像の動画配信のほか、新聞社や放送局の当時の記事にリンクが貼られている。また、「世界遺産」では、サンクト・ペテルブルグ(ロシア)、ヴィスビー(スウェーデン)、シャルトル大聖堂(フランス)、ベルン(スイス)、ヴェネツィア(イタリア)、アテネ(ギリシャ)、海印寺(韓国)、アユタヤ(タイ)、プランバナン(インドネシア)、ティカル(グアテマラ)の10ケ所の動画コンテンツが楽しめる。その他、簡単な解説、フォトギャラリー、関連リンクで構成されている。両方のコンテンツとも動画コンテンツとWeb上の他のサイトの情報との関連付けが良く出来ていて参考となる。

【Kansai Window】
http://www.kippo.or.jp/index_j.asp
 本サイトは「関西広域連携協議会」(KC) と「関西国際広報センター」(KIPPO)によって運営されている。テキストは日本語のほかEnglish、Korean、Simplified Chinese、Traditional Chineseの文字表示が選択できる。とくに「歴史・文化」では、伝統工芸「伝統工芸の来た道」、日本建築「関西の日本建築」、和紙「和紙のある暮らし」、自然を楽しむ「関西の自然、その四季に遊ぶ」、関西水めぐり「豊かな水の故郷、関西」、現代建築「関西の新しい建築」、食文化「食は関西にあり」、伝統芸能「伝統芸能に生きる関西という土」の8ジャンルについて福井、三重、滋賀、京都、大阪,兵庫、奈良、和歌山,徳島のコンテンツが盛り込まれてえいる。いずれのジャンルも専門性が高く、歴史、技法、工房探訪,対談などコンテンツの中身が濃いうえ、リンクによる関連情報へのナビゲーションも工夫されていて参考になる。

【北海道人】
http://www.hokkaido-jin.jp/
 本サイトは北海道庁が運営している。「北海道人宣言」には、「北海道人」は、北海道に深く根づいたさまざまな文化、人のくらしや息づかい、産業や仕事のなりたちを掘り起こし、地域コンテンツとして蓄積する、とある。Webマガジン風の構成で、特集、連載(新世紀ビジネスの開拓者たち/北海道新移民ものがたり/北海道を知る100冊)とも骨太の企画で読み応えがある。デジタル街道は、「フィルムコミッション」「北海道遺産」「北海道観光情報」「道立美術館等所蔵作品〈5館)」など、複数のジャンルのデータベースから、用途に応じて、さまざまな"北海道の表情"を探すことができる画像検索サイト。新たに「知恵のバザール」なるレファレンスDBサービスが加わった。北海道に関する質問をすると各ジャンルの賢者(専門家)が回答してバザールに蓄えられる、というもので、使いやすいすぐれものだ。

【ようこそ!香川デジタル映像館へ】
http://www.pref.kagawa.jp/eizo/
 本サイトは香川県が運営しており、郷土の歴史や伝統的文化などをデジタル映像や写真で提供している。「特別名勝 栗林公園」、「香川の伝統的工芸品」、「ふるさとのご馳走」、「道とまちなみ」、「水と暮らし」、「伝承とまつり」、「香川の風景」、「21世紀への礎」の8つのメニューがある。ストーリ−に沿って画像を閲覧する使い方だが、栗林公園の画像は見事。また水暦・風土記をデジタルアーカイブした「水と暮らし」も力作である。ワカミズムカエ、田野々雨乞踊、流れ灌頂と川市、香川用水水口祭、満濃池のユルぬき、田植えの行事、塩江ホタルまつり、お田植えまつり、虫送りなど地域独特の貴重な風俗を見ることができる。

【とやまオンライン映像館】
http://www2.pref.toyama.jp/index.html
 本サイトは、富山県が提供するブロードバンド版ホームページ。1996年に公共ホームページコンクールを実施したとき、富山県のホームページをコミュニティ賞に選定してから6年。いまやブロードバンド時代ということで、情報スーパーハイウェー「とやまマルチネット」を活用した大容量の映像情報が提供されている。コンテンツは「行政・地域情報」、「学習支援情報」、「福祉支援情報」で構成され、1M(高速)、700K(中速)、150K(低速)の3つのストリーミングモードと大・中・小の3つの画面サイズが選択できる。「学習支援情報」では「郷土学習」として富山県民生涯学習カレッジ・富山県映像センターが蓄積している映像コンテンツ31タイトルが公開されている。また、富山県とNPO法人地球映像ネットワークが協力し、「とやまマルチネット」を活用して制作したネイチャーチャンネルのコーナーにリンクしており、羽仁進氏、千石一郎氏の解説による地球の仲間たちの映像が楽しめる。

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