2002年10月「地域情報拠点としての図書館」  
*コメント・URLは2002年10月当時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 10月のgoodsiteは「地域情報拠点としての図書館」という視点で、公共図書館のサイトを改めてブラウジングしてみました。

 デジタル・ライブラリアン研究会やビジネス支援図書館推進協議会関係の事業に参加させてもらう機会が多くあり、「図書館も変わり始めている」という風を感じています。

 しかし、ホームページを公開している図書館が増えている一方、独自コンテンツがあるサイトや見るべきものがあるサイトは本当に少ないというのも正直なところです。これも何かと話題になっている専門職員(司書)が少ないため、図書館ならでは情報の整理や組織化、発信がなかなかできない事情の裏返しでしょうか。

 そんな中で、今回は小平市、成田市、市川市、荒川区、大阪市の図書館をgoodsiteに選ばせていただきました。これらのサイトのコンテンツから感じることは、図書館の職人の仕事の匂いや手触りとでもいえるでしょうか・・。やはり職人は重要だと、改めて実感しました。

【小平市図書館】
http://library.kodaira.ed.jp/
 コンテンツの準備はできていたものの正式オープンが待たされた小平市図書館のホームページが10月8日ようやく公開された。地域資料コーナー、古文書コーナー、WEB版「としょかんこどもきょうどしりょう」など、書誌資料の蓄積のうえにデジタル資料も地域ならではの個性と付加価値をつけ、図書館の職人らしい手が加えられた情報がラインナップされている。小平市史資料集では村時代の貴重な村政資料の概略がまとめてあり、元史料を手にしてみたい気にさせる。こども向けの郷土情報も「みんなの町のなまえ」「小平のはじめて物語」などがある。なお、14年度事業として10月〜2月に渡り、5回ビジネス支援セミナーを実施中。

【成田市立図書館】
http://www.library.narita.chiba.jp/
 蔵書検索の手引き、新聞・雑誌・CD-ROM一覧、資料の探し方、電子情報(リンク)、日本十進分類法(NDC)など、情報拠点として図書館を利用する、使いこなす上で必要となる基本的な情報が整理されている。図書館の事業、催し物、サービスについても、それぞれの利用方法や内容、日程などがわかりやすく整理されており、バックエンド業務と情報発信が無理なく統合されている。今後は図書館ならではの1次情報,地域コンテンツ等の充実を期待したい。

【市川市立中央図書館】
http://www.city.ichikawa.chiba.jp/shisetsu/tosyo/tosmain.htm
 メニューが多く充実している。とくに郷土関連データベースとレファレンスデータベースについて簡単に紹介すると、郷土DBのコーナーには市川のむかし話、市川の歴史・民俗・文学図書、市川市関係新聞記事検索、市川市ゆかりの人 文献検索などがあり検索利用ができる。レファレンスDBは利用者からの主な質問とその回答について月ごと紹介している。また、質問に回答できなかったものを「GIVE UP」コーナーで公開し、図書館外の知っている人に情報提供を求め、情報提供があるとそれをまた掲載している。トピックスではレファレンス業務のなかで発見した市川に関連した情報をコラム的に連載しており、味わい深い内容が多い。

【荒川区立図書館】
http://www.library.city.arakawa.tokyo.jp/
 荒川区立図書館は平成13年7月のホームページを開設と同時にインターネットによる検索・予約サービス、電子メールによるリクエスト、レファレンスの受付を開始した。いまでは予約の約40%はインターネットからだという。また、14年9月からは南千住図書館の3階に、無線LANが利用できるコーナーを設置。無線LANによりインターネットを利用できるノートパソコンを無料で貸し出している。ホームページのコンテンツでも大人に向けた情報提供がなかなか充実している。「大人の時間」コーナーでは毎月”読んで損はない本”7冊を紹介しており、内容やお勧めのポイントには地域の大人たちに勇気を与えたいとする図書館員のパッションが感じられる。南千住図書館には関連してビジネス本コーナーも設けられている。

【大阪市立図書館】
http://www.oml.city.osaka.jp/
 大阪市立中央図書館の貴重書庫に所蔵されている貴重資料のデジタル化とデータベース登録、Webへの公開が行われている。近世(江戸時代)以前の和装本や明治初期に行われた勧業博覧会の写真、また国土地理院発行による20万分の1や1万分の1地図が閲覧できる。Webギャラリーはこれらのうち画像のあるものをテーマごとにまとめて展示(1回:約2ヵ月間)している。読書週間にあわせて作成している「あなたにこの本を!」も12集目となった。今回は13年9月から14年8月まで受け入れた一般成人向け新刊図書のなかから図書館職員が選んだ91点92冊を8ジャンルに分け、200字程度の紹介文をつけ、市民の生涯学習の一助に5,000部を無料配布している。

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