2002年8月「デジタルアーカイブ〜自薦・他薦サイトから〜」  
*コメント・URLは2002年8月当時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 これまで、事務局にはたくさん自薦、他薦のサイトをお寄せいただきました。感謝、感謝です。

 そんな中、今月はじめての試みとして、2002年7月、8月に寄せられた自薦他薦のサイトからとくに「デジタルアーカイブ」的な視点をもっているものを選んでみました。

 知の拠点・東京大学から個人企業、個人が所蔵するものまで、いままでなかなか表に出てこなかった「お宝」が、インターネットの普及でとても出やすくなったこと、そしてそれほど大きな経費を投じなくても多くの人に公開できる環境が整ってきている実体を再確認させられました。

 情報の流通ルートは確実にシフトしている、ということも付け加えられるでしょう。脚本の登録・公開サイト「はりこのトラの穴」もそんなインターネットの良さを生かした試みであり、新しい作家を応援するサイトともいえそうです。そんな中で「三重の環境」は他のサイトと系統を異にしますが、読者投稿の写真は貴重なアーカイブとも言えますし、公的機関として毎日更新する姿勢に感銘しました。

【前近代日本の史料遺産プロジェクト(東京大学史料編纂所)】
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/personal/yokoyama/jpmem/2001/
 斎藤繁さん推奨のサイト。「Broadcast@SHIPSへようこそ」ということで、東京大学史料編纂所史料集発刊100周年記念事業として史料編纂所の活動ビデオ25本が6月25日から公開されている。「重要文化財と特殊蒐書(20分)」「花押と花押かがみ(15分)」「 史料保存技術−模写(20分)」「史料保存技術−影写(18分)」「近藤重蔵資料と蝦夷地絵図(20分)」「戊辰戦争を錦絵から読む(20分)」など、書庫に保管されている貴重な資料を見せながら研究者自らが解説する「知の開放」の方法は、県立博物館や県立図書館などでも参考になるのでは。

【恐竜発掘project(「THE 鉄腕DASH」)】
http://www.ntv.co.jp/dash/dino/index.html
 AVCC酒井弘雄さんの推奨サイト。日本テレビの番組「THE 鉄腕DASH」のサイト「DASH WEB」の中にある。プロジェクトがはじまって254日目(8月25日)までで、発見された首長恐竜の化石は148点にのぼる。サイトでは発見された日のレポートを全て写真とコメントで公開しているほか、海竜、モササウルス、謎の化石、海の化石、貝化石、植物化石などの採出品の解説や発掘の道具、作業、手順、ポイントなど発掘作業の基礎知識を解説。7人の発掘隊員日記も楽しい。埋蔵文化財の発掘や保存に取組んでいる教育委員会やNPOにも、このページは役立ちそう。

【はりこのトラの穴】
http://www.knockout.jp/tora/
 劇団KnockOutシアター代表 安徳恭彰さん推奨の脚本登録&公開サイト。アマチュアの作家が自作の脚本を登録し、一般に公開している。公開されている脚本はラブストーリー、感動巨編、お笑い、ミュージカル、サスペンス、青春もの、時代劇、SFの要素でグラフ化されていて傾向がつかめるほか、脚本をダウンロードして無料で読むことができる。実際に上演されることになると上演案内登録をし公開される。脚本利用料金は各作品で個別に設定されている。基準額として、小中高生などの文化祭などは無料。アマチュア劇団や学生の有料講演の場合は5000円程度を作者に支払う仕組みとなっている。脚本ダウンロードランキングも行なっており、人気作品がすぐわかる。

【ようこそ、ネット・ミュージアムへ!】
http://www.netmuseum.co.jp/
 城島敏明さん推薦の「ネット・ミュージアム」は、「ネット・ミュージアム計画推進委員会」が運営するサイト。「ネット・ミュージアムのリンク集」や読者が写真で応募する参加型の「全日本自慢の一品博物館」などボランティアでやっているコーナーと「電子展示スペース・グリフィニア」や「あなたもミュージアム開設へ!」などネット・ミュージアムの制作・公開をセットで募集したネット・ビジネスと思われるページがあり、なかなかユニーク。我が家に眠っていたお宝を公開している「金鯱亭」、1899年(明治32)東京下谷に店を開いた佐藤暖房機の歴史をまとめた「ストーブ博物館」などの力作が楽しめる。

【みんなで創ろう!三重の環境】
http://www.eco.pref.mie.jp/
 三重県庁の環境部が運営しているサイト。毎日更新されている「今日のニュース」の他、「トピックス」「この人にインタビュー」も頻繁に更新。トップページの写真は毎月テーマを決めて募集。応募作品のなかから入賞作品を毎月数点選び、それぞれ1週間程度掲載している。「空から見た三重」は森林GISで管理している空から撮影した地形画像を検索できる。また、環境ビデオライブラリーでは「三重の海岸線」「美しい清流宮川のリバーウォッチング」「宮川のアユ」「紀和町 丸山千枚田」、「飯高町の山」、「神島の自然」などの自然環境や環境学習情報センターが制作している動画を配信している。

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