2002年2月「ブロードバンド」  *コメント・URLは2002年2月当時のものです

選考者のつぶやき(財団法人AVCC 普及啓発部長 丸山 修)

 今月のgood siteは「ブロードバンド」という視点から、生活や学習に参考となりそうなサイトをブラウジングしてみた。

 映像デジタルアーカイブやCATV番組と連携したインターネットTVが登場しており、再生ソフトをダウンロードすると動画・音声コンテンツが利用できるサイトが増えている。
 自治体サイトのなかでは、以前1999[good site]賞に選ばせていただいた丹波篠山市が精力的に動画を発信している。ニュース(週1本)、篠山点描、街角ウォッチングといったレギュラーコンテンツに加え、平成14年1月26日に行われた全国アマチュアビデオコンテスト「人の生き方を伝えたい」入賞作品(12作品)が楽しめる。教育委員会や視聴覚ライブラリーもコンテンツの提供主体となっていて、頼もしい。

 また、自治体自身のホームページとしては今回goodsiteとして紹介した東京都杉並区のほか、台東区もCATV番組を一部インターネットで公開している。これらはデジタルアーカイブという観点より、市民向けインターネットTVという位置付けだか、コンテンツをデジタル化することにより、従来より情報の提供と利用の間口を確実に広げている。
 コンテンツの数がまだ少ないということで今回は残念ながら見送ったが、「障害者、高齢者が楽しめるブロードバンド時代のインターネットを目指して」というサイトもブロードバンドならではの意義ある取り組みをしている。こちらは「コンテンツ流通プラットフォーム実証実験」のサイトで視聴覚障害者や聴覚障害者、高齢者に向けた音声コンテンツ、手話コンテンツ、アニメーションコンテンツを提供している。

 なお、三重県生涯学習センターの視聴覚ライブラリーのコーナーにあるVOD(Video on demand)では、今回goodsiteにさせていただいた「三重デジタルコミュニティズ研究ネットワーク事業」の一環として、三重県の歴史や文化に関する約100本の市販映像作品をVOD価格で契約しライブラリー化して、CATV向け、インターネット向けに提供している。視聴覚ライブラリーの本格的なVODサービスとしては全国的にも初の試みか。

【三重デジタルコミュニティズ研究ネットワーク事業】
http://www.dcs.pref.mie.jp/index.html
 県内の大学や生涯学習・教育センター、民間企業等が連携し、豊かなネットワーク社会の実現をテーマに実証研究を行う「三重デジタルコミュニティズ研究ネットワーク事業」のサイト。学校教育や市民生活に役立つ動画コンテンツを提供している。「生涯学習ネットワーク」では、「桑名の鋳物工業」「伝説どうかん長者」「三重県における鳥の希少種」「海を調べよう」など地域固有の情報を提供。また、「ヘルスケア教育ネットワーク」では、介護支援や健康教育用のコンテンツを提供している。

【秋田県社会教育施設情報化推進事業実行委員会ホームページ】
http://www.apl.pref.akita.jp/apic/apic.html
 文部科学省の委嘱事業として秋田県内の様々な資料を電子化した事業の成果を提供している。画像の電子化については、秋田県立図書館所蔵の貴重資料をはじめ明治・大正の郷土雑誌や観光案内誌、江戸時代の町の様子を伝える「江戸期大絵図」など昔の秋田の様子を伝える貴重なデータが紹介されている。また、110もの民話も紹介されており、地域の語り部による音声を聞くことができる。動画が提供されているのは「秋田のお祭り」。県内の代表的な14のお祭りを動画と解説で楽しむことができる。

【ビデオ・オン・デマンド(東京都杉並区)】
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/vod/vod_main.asp
 杉並区が発信する「ビデオ・オン・デマンド」のサイト。住民へのサービスの一環として役立つ動画を提供している。コンテンツは、手話教室、健康教室、交流、 郷土芸能、21世紀プロジェクト記念事業、わたしたちの介護保険、確定申告、アニメネットミュージアムと豊富。それぞれ回線環境にあわせて利用できるように4種類のファイルを提供している。とくに充実しているのは現在(2002.02)45のコンテンツを提供している手話教室。毎月継続的に更新されており、簡単な単語が学べる。

【山形デジタルアーカイブス〜映像による歴史と文化の継承〜】
http://www.archive.gr.jp/archive/index.html
 山形県マルチメディア開発推進協議会のサイト。「ビデオアーカイブス」では、協議会が撮影・収集した県内の民俗芸能や伝統工芸等の貴重な文化遺産、将来に残していきたい風景などを地域文化のデータベースとして紹介。それぞれ約40秒の映像に編集され、季節や地域、分野別にも整理されているので使いやすい。「安斉ライブラリー」は画像のみのデータベース。地質学者の故安斎徹氏が撮影した戦前の貴重な写真を紹介。山岳関係、旅行・風土、考古・歴史・風俗等の項目に整理されている。

【琉球放送】
http://www.rbc-ryukyu.co.jp/
 琉球放送のサイト。「映像アーカイブ」では、「21世紀に残したい沖縄」をテーマに、首里城、獅子舞、琉球漆器、勝連城跡、辺戸岬などプロのカメラマンが撮影した35余りの映像を見ることができる。また、動画ではないが、沖縄の風俗、芸能、美術・工芸などを紹介した「沖縄の民俗」は、豊富な画像と解説があり読みごたえがある。「動く沖縄の民話絵本」は沖縄県立那覇工業高校グラフィックアーツ科が作成。電子紙芝居と音声で沖縄の民話を楽しめる。一部沖縄の方言でも提供している。

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