井村 保さん
「福祉と障害者支援情報の総目次」
http://rel.chubu-gu.ac.jp/soumokuji/



[1997年11月] [1998年 2月] [1998年 5月]

1997年11月提出レポート

「インターネットの活用による福祉関連情報の提供」
(その1・提供される情報の変化)


はじめに
 パソコンやインターネットが一般家庭にまでにも普及し、情報化や情報公開も積極的に行われるようになった今日、情報通信・情報交換などのコミュニケーション手段も大きく変わりだしている。そして手軽な情報発信の手段でもあるインターネット上においても、その内容は障害者支援などの福祉関連についての情報も非常に多くなってきている。  このような背景により、インターネットの福祉目的での利用は今後、飛躍的に増加し、極めて重要なものとなると予想される。本稿では、インターネットの代名詞的存在となったWWWでの障害者福祉関連情報の活用について、『福祉と障害者支援情報の総目次』(以下、「総目次」とする)の運用・利用状況から考察するとともに今後の課題をまとめる。

総目次に登録されている情報の現状
 総目次は96年2月1日より一般公開を行っているが、この段階で登録していた情報件数は、インターネットの福祉利用に関する現状調査の結果を z中心に、可能な限り検索サイトや関連する他のホームページ(以下、「HP」とする)のリンクで調べた90件であった。そして、半年後(96年7月末)には224件(開設時比 : 2.5倍)、1年後(97年1月末)には360件(同 4.0倍)、1年半後(97年7月末)には441件(同 4.9倍)にまで増加した。これら増加分のうち、初期では既設HPの登録漏れによる追加も多くあったが、最近では新設されたHPも多くなってきており、HPを用いた積極的な情報公開の普及も伺える。  HPの内容としては、大学等や専門家などからの情報には、研究成果の公開やイベントの案内といったお互いの連絡・情報交換のほか、電子メールを用いての相談受け付けのお知らせのように、独自色の強い内容が中心である。これに対し、市民団体や個人からの情報には障害者自身からの情報も含み、各地の話題(サークル活動や、車椅子マップなど)や体験談的な内容といった、障害者本人や介護する家族の方等の不安の解消につながる情報も多い。  また、民間企業からの情報の多くは福祉機器メーカの製品案内や情報サービス会社の情報案内であったが、これまで福祉関係とは無縁であった企業による社会貢献活動に関するHPもまだ少しではあるが増えてきている。

利用者が求めている情報の現状」
 総目次はリンク集であるため、利用目的はここを中継して他のページを探すことであると考えられる。そこで、参照先つまりどこのHPが参照された(選択された)かということを記録することで、利用者がどのような情報を望んでいるか推測した。
 全体的な傾向としては、総合的あるいはさらに専門的分野のリンク集、パソコンに関する情報、肢体不自由関連、聴覚障害関連に参照の多いHPが多く、次いで、バリアフリー、法令制度関係であった。これにより、さらに他の情報を探していると推測できるが、実際にパソコン等を使うための具体的な情報を探している利用者も多いと考えられる。

今後の展望と課題
 福祉分野でのインターネット利用を考えたとき、特に情報の収集のためには、あらゆる立場が情報を発信していることにより、それぞれが得意とする分野の情報を発信し、うまく補間しあうことで、より多くの人々が必要とする情報を入手できるようになると考えられる。これは、様々な情報が入手できるようになった反面、情報が氾濫し、本当に必要とする(される)情報を探すのが困難になってきていることでも問題点としてあげられる。
 そのため、利用者中心でわかりやすい情報公開のためには、各HP(リンク集)においても利用者のニーズを把握し的確に情報を紹介することも必要であるが、CHIME Service Project(http://www.neting.or.jp/welfare/chime/)日本障害者協議会(http://www.jdnet.gr.jp/)が行っているHPのデータベース化などの総合的な体系の整備も必要になってくるであろう。

謝辞
 総目次の運用にあたり、ご支援を頂いている財団法人視聴覚コンサルタントセンター関係各位に深く感謝いたします。また、本報告の一部は、第12回リハ工学カンファレンス(日本リハビリテーション工学協会主催、1997年8月27日)にて発表したことを付記します。


-UP-

1998年2月提出分レポート

「インターネットの活用による福祉関連情報の提供」
(その2・情報提供の効率化)


情報の増加に伴う問題点
 インターネット上でホームページ(以下、「HP」とする)を探す方法としては、サーチエンジン、イエローページなどを用いる方法がある。しかしHPの総数が飛躍的に増加した現在では、一般的な項目(例えば、「福祉」や「障害者」などのキーワード)では該当数が多く、HPの概略説明がなければ情報の内容を判断するのが困難である上、より詳細な項目で情報を検索しても、それらがキーワードとなっていないため、発見できないこともある。また多くのサーチエンジンでは、ロボットプログラムを用いて自動的に情報を探し登録しているので、必ずしもHPの作者の意を反映しきれているとは言えず、その内容が正しく伝わらない場合もある。このため、対象分野が限られている場合には、このようなサーチエンジンより、人手を介して情報が登録されているリンク集の方がより使いやすくなっていることが多い。しかし、これには作成者にかかる負担も大きくなる。
 また、障害者情報に関するほとんどのページには、多かれ少なかれリンクのページが設けられているが、その内容は互いに重複している場合が多い。その割にページ作成者同士の情報交換もそれほど活発とはいえない。これらのHP作成者の間での情報交換が日常的になされ、作業を分担することにより、リンク集自体はより充実したものになり、かつ個々の作業の負担も減らすことができるのではないかと考える。
 
「CHIME Service Project」の試み
 『CHIME Service Project』(http://www.neting.or.jp/welfare/chime/)は、インターネットを用いての障害者をめぐる情報の提供の効率化を考える有志の集まりである。インターネットの普及により、WWWを用いた国内の障害者支援に関する情報や障害者自身による有用な情報の発信が飛躍的に増えており、今後、より一層の進展が期待される。しかしその反面、情報の氾濫により、利用者、運営者の双方にとって問題も生じてきている。そこで、このプロジェクトでは、同様の考えを持つ有志が「情報の共有化」と「提供体系の整備」を軸に問題点を検討し、運営者同士が作業の分担や共通のフォーマットを作成して、情報提供の効率化および個々の負担の軽減を目指し、「イエローページ」や「ガイドページ」を作成している。なおメンバーも、個人や団体、専門家や家族といったさまざまな立場から参加し、インターネット上で共同作業を行っている。

「VCOM-CHIME」の試み
 しかし、関連情報が予想以上に急増したことで、人手に頼るリンク集のメンテナンスが限界に近づくとともに、利用者からも「サーチエンジン」を作ってほしいという意見が多く寄せられるようになった。そこで、前述の「CHIME Service Project」と「VCOM」(http://www.vcom.or.jp/)の共同プロジェクトである『VCOM-CHIMEプロジェクト』(http://chime.vcom.or.jp/)では、障害者情報のための検索エンジンや更新の自動化システムを開発している。そして、インターネットによってつながっている同じ関心を持つ人達が、情報を共有しコミュニケーションを行う事で、新しい情報を創発できるようなコミュニティの形成を支援することを目標にしている。

総目次の改良(「選択表示機能」の導入)
 最近では登録件数も400件をはるかに超え、WWWへのリンクだけでも6ページにわたるようになり、知りたい情報がどのページにあるのか探すことが私自身も困難になってきた。そこで、表示方式にも検討を加え『福祉と障害者支援情報の総目次?選択表示?』を試作した。本格的な検索機能は、前述のVCOM-CHIMEで作成するが、これは、現在採用している項目ごとに表示・非表示を選択し、指定した項目についてのみ登録されているリストを表示するものである。本格的な検索には及ばないものの、知りたい項目が決まっている場合、そして、それらが複数のページにまたがっている場合には、使いやすくなったのではないかと思われる。

謝辞
 総目次の運用にあたり、ご支援を頂いている財団法人視聴覚コンサルタントセンター関係各位に深く感謝いたします。また、本報告の一部は、第1回インターネットワークショップ(電子情報通信学会・インターネット研究会主催、1997年10月23日)にて発表したことを付記します。


1998年5月提出レポート

「インターネットの活用による福祉関連情報の提供」
(その3・更新の効率化と情報の共有化)


新規データの登録
 情報の新規登録の際には、内容の確認後、リンクリストに追加するとともに運用者への連絡が必要である。この作業をある程度自動化できれば、手軽に、より早く更新が可能になる。また、この情報を多くの管理者で共有することは情報の普及には不可欠である。そこで、この管理システムを実装し、試行しての問題点について報告する。

(半)自動追加システム
 この新規データの登録作業は、従来は完全手動で行っていた。しかしこの方法は手間がかかるため、更新作業は遅れがちである。そこでこの一連の作業をある程度自動的に行うために、既存の「新規データ登録依頼」フォームのCGIスクリプトを改良して、メンテナンスフォーム(非公開)を作成した。これによって、新規データの登録に関しては、ある程度効率的に行うことができるようになった。
 なお、このフォームを非公開としたのは、これを悪用し無関係な情報が登録されることを防ぐためである。

残された課題
 しかし総目次も3年目に入り、その管理・運用面においてこれ以外の問題点も生じてきた。

<既登録データの修正>
 登録しているホームページの管理者が学生である場合や、プロバイダのドメイン名が*.or.jpから*.ne.jpへの変更を中心に、URLなどの登録内容変更が多くなってきた。
 この方法としては、現在のところ手作業で変更事項を書き換えるといった単純な方法で行っている。そのため、変更を要する情報が複数項目に重複して登録されている場合には、ある項目の箇所だけは変更漏れを起こすという単純なミスもあった。

<登録項目変更>
 また、登録件数が多くなるにつれて分類項目の細分化を含めた再編成も必要になってくる。しかし、現行のリンク集から新たな項目によるリンク集への変換方法を考えたとき、これもまた地道な手作業に頼らざるを得ないのが現状であり、簡単には変更できそうにもない。 

登録内容のデータベース化
 これらの課題を解決し、さらにデータの共有化に有効な方法として考えられるのが「データベースの構築」と「リンク集への変換」である。
 まず、従来のように直接リンク集を編集するのでなく、ページ名称、URL、作者、分類などをもつデータベースに書き込む。もちろん、新規登録も修正もこのデータベースに対して行う。そして、変換(生成)プログラムを介してこのデータベースよりリンク集を作成することにする。この方法を使えば、細分化だけでなく、このデータベースに作者の属性や、対象地域などを加えておけばそれらによる分類も可能である。
なお、これのシステムは、前報で紹介した「VCOM-CHIME」と協力して作成中である。

おわりに
 これまで3回にわたり、『福祉と障害者支援情報の総目次』の運用を通して、インターネット上で提供される障害者関連情報の変化状況を報告し、利用者サイドで考えた提供する(利用される)ための効率化および管理者サイドで考えた更新の効率化と情報の共有化についてまとめた。今後もこのような考えのもとで、総目次の管理・運用を続けて行くつもりである。
しかし、実際に作業は個人の限界を超えたものである。そのため、いろいろな情報をお寄せいただいても、すぐには対応できないことがほとんどであり、この場を借りてお詫びいたします。そして、今後も利用者の皆さまには、より良い総目次を一緒に育てて頂きたく、お願い申しあげます。

謝辞
 総目次の運用にあたり、ご支援を頂きました財団法人視聴覚コンサルタントセンター関係各位に深く感謝いたします。また、本報告の一部は、中部学院大学研究紀要に執筆したことを付記します



-UP-

サポートプログラムトップに戻る

Copyright(C),Advanced Visual Communication Center,All rights reserved.