◆1999[good site]賞◆
 1999[good site]賞が決まりました!! 
 今年は、16サイトを[good site]賞に選びました。ささやかな活動ながらも一生懸命選んできた60余りの[good site]の中から10数サイトを選び出すことはたやすいことではありません。そして、どのサイトも運営者の方の活発で個性的な活動や意識が背景にあってこそ生きていると思っています。
 では、今年の[good site]賞をご紹介します!


   ※審査について
  選考対象[good site]
  審査委員会日程
  審査方法
  賞品
  1999[good site]賞 審査委員会を終えて

1999[goodsite]賞:受賞サイト(16サイト)

        ※ ( ) 内は[good site]に選定された時期
        ※ コメントは1999年当時のものです



富士山自然探訪(1998年07月)
発信者:フジフォレストプロジェクト
 
http://www.wbs.ne.jp/cmt/fuji/index.html
フジフォレストプロジェクトさんからのメッセージ

 多くの人たちに富士山の自然に対する認識を深めてほしいと活動を行っている地元の仲間グループ「フジフォレストプロジェクト」が、富士山の自然を紹介しているページ。富士山に生息する植物や、野鳥、蝶、動物などを、標高や生息域別に発信しているコーナーや、地理を研究している先生による「富士自然教室」などもあり、富士山全体の自然がとてもよくわかる。画像もたくさん使われ、わかりやすく整理されているので、子どもたちが学習活動にも大いに活用できるだろう。また、富士山の自然の偉大さをあらためて感じることができる一方で、自然が脅かされている状況も発信されており、富士山の自然を俯瞰できるページである。


旧ソ連抑留画集(1998年07月)
発信者:木内信夫さん、木内正人さん

http://www.ca.sakura.ne.jp/~masato_k/nobindex.htm
木内正人さんからのメッセージ
 元陸軍飛行兵だった木内 信夫さんが、第2次大戦後、旧ソビエト連邦ウクライナ共和国にて体験した「日本人捕虜」の生活の記録を描いた作品を息子さんの木内 正人さんがインターネットで紹介しているページ。戦争という暗い時代背景の中でも、日本、ロシアという国を超えた一人の人間として、笑ったり、泣いたり、怒ったりと人間らしさを失わずに生きた人々の様子がいきいきと描かれており、木内 信夫さんのあたたかい眼差しが感じられる。

 歴史的な事実というものは、さまざまな観点から見つめる必要があると点からも、このような経験を個人の視点から記録されたものが、インターネットで世界に向けて発信されているのはとても有意義なことである。


超お役所サイト★丹波篠山(ささやま)へのいざない(1998年07月)
発信者:篠山市
 
http://www.city.sasayama.hyogo.jp/
篠山市さんからのメッセージ
 兵庫県篠山市の企画課の職員によって制作されている、篠山の情報満載の元気なページ。町としての行政情報の発信だけでなく、歴史、観光情報、特産物など篠山に関するのコンテンツをユニークな切り口で紹介している。また、膨大なじ情報もわかりやすく整理されているのでとても見やすい。
 また、情報を発信するだけではなく、「電子メール」「掲示版」などを活用し市内外の人々との交流が活発に行われている。篠山市職員の自治体の情報発信への真摯な取組みと柔軟な姿勢がとてもよく感じられ、篠山市民にとっても、他の地域の人とっても今後ますます楽しみなページである


猿島町公式ホームページ(1998年09月)
発信者:茨城県 猿島町
 
http://www.town.sashima.ibaraki.jp/
茨城県 猿島町さんからのメッセージ
 茨城県猿島町のページ。「猿島なんでも辞典」では、猿島の文化財、猿島茶、民族芸能、方言など猿島の生活や歴史文化に関して情報が発信されている。また、町収蔵の美術品(30点)や、猿島出身の二世「五姓田芳柳」の作品(53点)が画像で紹介されている。町民にとっては地域学習に活用できるし、もちろん県外の人にとっても歴史・文化の学習などで活用できるページとなっている。
 また、町内外の人に広報誌をメールで配信するなど、地域を超えて「人」が参加できるページを目指しており、今後はますます期待できるページである。


インターネット図鑑「自然界」(1998年09月)
発信者:株式会社 ナレッジリンク
 
http://www.knowledgelink.co.jp/
株式会社 ナレッジリンクさんからのメッセージ
 株式会社 ナレッジリンクが自社で販売しているCD-ROMソフト自然科学データベース「自然界」をインターネット上で公開しているページ。 魚類、哺乳類、爬虫類、両生類のカテゴリーの中で、キーワード検索、目科属検索、マップ検索、形状検索ができる。また、あまり慣れていない人やこども向けに簡単な操作で検索できる「どうぶつずかん」もある。質問や意見交換の場である「ゲストブック」には、さまざまな生き物に関する意見交流がされている。ナレッジリンクの担当者からも、様々な質問への答えや参考文献の紹介などが丁寧に行われており、いい雰囲気のコーナーとなっている。このように企業を超えた活動は、生涯学習や学校教育などにおいてとても有益なことである。


MOW MOW MOWの部屋(1998年09月)
発信者:上原 永護さん
 
http://www.mowmowmow.com/
上原 永護さんからのメッセージ
 群馬県の中学校教諭 上原 永護さんのページ。数学の授業に活用できる自作ソフトウェアや、それを活用した授業指導案やその他教育実践活動の記録や研究紀要などが発信されている。とくに自作ソフトウェアはかなり充実している。生徒が自習できるように、身近なテーマから楽しく数学にアクセスさせる工夫がされている。

 また、教師が授業で活用できる授業要項に即した教材や、作図ツールCABRI IIやGeometric Constructor(愛知教育大学 数学教室 飯島康之氏開発)を使用した図形資料などもある。このように自作の教材などをインターネットで発信することにより、地域をこえて先生や生徒との間でコミュニケーションが行われることは、とても有益なものである。。


もりの小学校(1998年11月)
発信者:野上 俊二さん
 
http://www.morinogakko.com/
野上 俊二さんからのメッセージ
 長野県飯田市の小学校教諭 野上 俊二さんのページ。小学校におけるインターネットの整備が進む中、ネット上に学習ソフトがあれば全国どこでも同じ勉強ができ、学力の地域格差もなくなるのではないかという視点から、学習ソフトを提供している。JAVAやHTMを使用したソフトが80本程度、ドリル用のプリント集(lzh形式で圧縮)は千枚を軽く超える。
 基本的に「楽しく学習する」をめざし、どのソフトにもこども達の感想をきくアンケートがついている。また「インターネット学習ページサークル (仮称)」を呼びかけており、インターネット学習教材を作る仲間を募集している。まだまだ不足している優良なインターネット学習教材を整備していくことはこれから早急に求められる。是非この輪をどんどん拡げていっていただきたい。


ニホンミツバチ (1998年11月)
発信者:菅原 道夫さん 

http://member.nifty.ne.jp/smk/
菅原 道夫さんからのメッセージ
 大阪の高校教諭である菅原 道夫さんが発信しているニホンミツバチに関するページ。ニホンミツバチの生活や特性、分布状況や自然巣の構造、セイヨウミツバチとの違いなど基本的な情報をわかりやすく整理して発信されており、完結した教材として活用できるだろう。また、「自然巣の一年」は、四条畷市内の神社にできた巣を菅原さん自身で観察した記録が掲載されており興味深い。画像も美しく、操作もわかりやすくページが作られているため、とても見やすい。
 また、ニホンミツバチをいっしょに研究をしようという小中学生への呼びかけており、今後いろいろな意見交流がネット上で行われることが期待できるページである。


神奈川県水産総合研究所内水面試験場ホームページ(1998年11月)
発信者:神奈川県水産総合研究所内水面試験場
  
http://www.agri.pref.kanagawa.jp/suisoken/naisui/n_index.asp
神奈川県水産総合研究所内水面試験場さんからのメッセージ
 神奈川県水産総合研究所 内水面試験場のページ。主に試験場の紹介と県内の川や湖に棲む魚達の情報が提供されている。「研究成果」のコーナーはテーマは専門的だが、研究所でどのような研究がされているのか、一般の人にもわかりやすく解説されている。他にも「淡水魚図鑑」や「魚豆知識」、アカザやギバチなどの「稀少淡水魚ふ化観察記録」や「釣り情報」などもあり、学習教材としてだけではなく、楽しめる情報がたくさん発信されている。他にも相模原の気象データや水温、芦ノ湖の水質などのデータベースも発信されているので学校での教材としても活用できだろう。このように研究所での専門的な情報が一般向けに発信されていることはとても有益なことである。


れきはくホームページ(1998年11月)
発信者:国立歴史民俗博物館

http://www.rekihaku.ac.jp/
国立歴史民俗博物館さんからのメッセージ
 千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館のページ。1998年11月に[good site]として紹介して以降、大幅にページがリニューアルされて、より見やすくわかりやすくなった。「歴博総合案内」では、館内展示情報や、催し物についての情報、また館の収蔵資料の中から、洛中洛外図屏風(歴博甲本)、江戸図屏風など貴重な画像が紹介されている。また、「子どもと親のページ」では、歴博に行けばどのようなことがわかるのかなどがわかりやすく発信されており、歴博に行く事前が学習などに活用できるページである。また歴博の研究者がどのような研究をしているのかなどを紹介しているページもあり、研究者の存在が身近に感じることができる。難しい学術的コンテンツをわかりやすく解説することは容易なことではないが、学校教育や生涯学習に活用できる教材として今後大いに期待できるページである。


ピッピネット[こうちボランティア・市民活動情報システム](1999年01月) 
発信者:高知県社会福祉協議会

http://www.pippikochi.or.jp/
高知県社会福祉協議会さんからのメッセージ
 高知県のふくし交流プラザ(高知県社会福祉協議会/高知県ふくし交流財団)のページ。ボランティアや市民活動に関する情報を発信している。活動を行っているグループの情報や、ボランティアをしてみたい人、またボランティアを募集しているグループの情報、各種イベント・研修情報、指導者などの人材情報などが検索できる。単なる情報の発信だけでなく「やってみたい人」と「活動している人」との出会いの場となっている。自分のやりたいことや、時間・場所の都合に合わせて情報が検索できるので、気軽に活動の輪を広げていくチャンスを市民に提供している。これからどんどんボランティアを通した市民同士のコミュニケーションの広がりを期待できるページである。


ボクにもわかる先端科学(1999年01月) ※名称変更:キッズサイエンティスト
発信者:高エネルギー加速器研究機構 WWWワーキンググループ

http://www.kek.jp/kids/index.html
高エネルギー加速器研究機構 WWWワーキンググループさんからのメッセージ
 文部省高エネルギー加速器研究機構(KEK)の中にある、一般及び教育向けに物理や加速器を分かりやすく解説しているページ。KEKのスタッフだけでなく、つくば市内の学校関係者などが協力し、むずかしい基礎科学の世界をわかりやすく発信しようと試みている。「やさしい物理教室」や「簡単物理辞典」では、宇宙から素粒子までといった幅広い自然科学の世界を紹介、「科学者への道」では、科学者たちのインタビューを見ることができる。(PLUG-IN:RealAudio Player)人類の夢や希望を託す「科学」本来の面白さや感動をあらためて伝えたい気持ちが伝わってくる。 ほとんど一般の人にはなじみのない専門性の高い分野において、だれにでもわかりやすく表現するということは非常に難しいことだが、たいへん有益な活動である。今後よりさらにわかりやすく解説していきたいという発信者の意気込みには、大いに期待ができる。


江戸歴史散歩(1999年01月)
発信者:榎本 民夫さん

http://www3.justnet.ne.jp/~tamio-enomoto/
榎本 民夫さんからのメッセージ
 東京都稲城市の榎本民夫さんのページ。現在の東京に残っている江戸時代の面影を発信している。「山手線各駅史跡巡り」では各駅近くにある旧跡や史跡を紹介しており、見なれた現在の東京の風景を江戸時代のフィルターを通してみることができる。まるでネット上で山手線に乗って東京を散策しているようにページを見ていくことができるようなページの作りとなっており、楽しい。
 他にも、大名の家紋、大名庭園、江戸城、重要文化財、神社、七福神、坂道や地名の由来など江戸にまつわるたくさんの情報が発信されている。これらのたくさんの画像や情報は、長年かけて榎本さん自らの足で集められている。気軽に楽しみながら見ることができて、生涯学習や学校教育にも活用できるページだろう。


横浜こども科学館ホームページ(1999年06月)
発信者:財団法人横浜市青少年科学普及協会

http://www.city.yokohama.jp/yhspot/ysc/ysc/ysc.html
財団法人横浜市青少年科学普及協会さんからのメッセージ
 財団法人横浜市青少年科学普及協会が運営している横浜こども科学館のページ。科学館の利用案内や展示室案内、教室・催し物案内などの情報の他に、天文に関わる情報が豊富に発信されている。「宇宙・天文ニュース」では、最近の宇宙や天文に関するトピック的な情報が発信されている。また「人工衛星情報」や、天文指導員の出雲晶子さんの「天文民俗学」のページもある。「天文民俗学」のページは、七夕や暦、星にかかわる伝説など、身近な話題から宇宙へのつながりを感じることができる。専門的知識のない人も、宇宙や天文が好きな人もどちらも楽しめるページである。
 また、展示室案内では、どのような展示がありどのような体験ができるのかが画像をまじえて発信されているので、科学館を訪れる前の事前学習として活用できる。


中村学園大学図書館(1999年06月)
発信者:中村学園大学図書館

http://www.lib.nakamura-u.ac.jp/index.htm
中村学園大学図書館さんからのメッセージ
 中村学園大学図書館のページ。このページ開設に際して「無償で自由にだれでも利用することのできる電子図書館の建設に重点」を置いたそうだ。「貝原益軒アーカイブ」として「養生訓」「和俗童子訓」など、また近代科学・医学関連の「解体新書」「医範提綱」など、他にも「魏志倭人伝」といった学習に有効に活用できるものが数多く発信されており、これらはテキストや画像、PDFで提供されている。また、図書館情報として、大学内外の書誌検索なども可能である。 このように、人類共通の財産としてインターネット上で貴重な情報を発信することは、今後さらに著作権などの問題とあわせて方向性を探っていく必要がある。その様な中、この発信者の著作権に対する真摯な取り組み、そして大きな視点に立っての情報発信は高く評価されるべきであろう。


蝶の図鑑(1999年06月)
発信者:有田 忠弘さん

http://www.nmt.ne.jp/~otaku/butterfly/index.htm
有田 忠弘さんからのメッセージ
 徳島県海部郡海南町の有田忠弘さんのページ。中国四国地方および一部沖縄地方(123種類)や徳島県海南町で、有田さんが撮影した蝶を生態図鑑形式にまとめ発信している。画像も美しく、生息地や種別で紹介しておりわかりやすくまとめられている。他にも、「幼虫・蛹」図鑑、似ている蝶の見分け方、季節ごとの蝶に出会える場所など、いろいろな切り口から蝶に関する情報が発信されており楽しい。
 また、「メッセージボード」では、「蝶の寿命は?」「見つけた幼虫は何になるの?」など蝶に関する様々な質問や情報が活発に意見交換がされており、子どもたちの学習にも活用できるページである。
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※審査について

選考対象[good site]

1998年度事業として選考した60サイト(うち1サイトは閉鎖のため除外)

審査委員会日程
  • 日 時  1999年6月7日(月)15:00〜18:00

  • 場 所  財団法人 高度映像情報センター(AVCC)会議室

  • 出席者
      
    公共ホームページ[good site]運動推奨委員
    百崎  英 氏(社団法人行政情報システム研究所 理事長)
    清水 康敬 氏(東京工業大学大学院 社会理工学研究科長)
    永岡 慶三 氏(メディア教育開発センター 研究開発部長)

    公共ホームページ[good site]運動実行委員
    久保田了司(財団法人 AVCC 常務理事)
    野部  栄(財団法人 AVCC 主任研究員)

    公共ホームページ[good site]運動事務局
    丸山  修(財団法人 AVCC 普及啓発部長)
    山田 瑞恵(財団法人 AVCC 普及啓発部員)

審査方法

 事前にAVCC事務局内において、対象の60サイト(うち1サイト閉鎖のため除外)を下記のポイントから評価し、受賞候補をリストアップしました。この事前評価をもとに、審査委員会において実際にサイトを見ながら各サイトについて議論を行いました。

  • コンテンツの充実度
  • コミュニケーション活動への意識
  • 情報更新の状況
  • 学習教材としての活用度 他

賞 品

 1999[good site]賞記念品及び図書券(1万円)

1999[good site]賞 審査委員会を終えて

「1998年度選考活動をふりかえって」

 インターネットでの情報発信が活発に行われるようになって以降、いわゆる公共的な機関・組織から発信される情報よりも、個人から発信される情報の方がよりユニークでかつ有益な情報が多く見られました。

 しかし昨年あたりから、相変わらず個人からの情報発信が活発に行われる一方、ようやく公共的な機関・組織からの有益な情報発信が目立ち始めました。どちらかといえば一方的な印象を受けた情報発信から、受信者にとっての有益な情報の提供、コミュニケーションの場の提供などを意識した情報発信へと大きく変化しています。公共的な機関・組織が持つ情報の量の多さや専門性の高さを考えると、デジタルアーカイブ的な要素を含め今後楽しみな傾向といえるでしょう。


「著作権に関する議論について」

 [good site]賞の選考も今回で3回目となります。ここ数年で、社会的にもホームページというものが情報発信のひとつの手段であるという認識が深まりつつあり、それに伴いデザイン的にもコンテンツ的にもより充実したサイトが増えています。

 1999年7月、1999[good site]賞として、16サイトを決定しました。傾向としては、人々の学びの活動をサポートし、ネットワーク上での人々の共有財産として活用できるデジタルアーカイブ的なものが多くみられます。このように、貴重な資料や画像などの情報が発信されるのはとても有益である一方、今後ますます「著作権」というものを真正面にとらえていかなければならないだろうという議論が審査委員会においてされました。

 著作権に関する問題は、法律的にもすでに多くのところで語られています。では、実際に情報発信されている運営者の方は著作権処理をどのようにとらえ、行っているのでしょうか。かつての印刷物や映像とは異なる側面をもつインターネットでの情報発信における著作権は、より高度なネットワーク社会の構築に向けての大きな課題のひとつです。審査委員会での議論をもとに、いくつかの1999[good site]賞受賞サイト運営者の方に実状や考え方をお聞きしました。

 例えば、「中村学園大学図書館」では、「電子図書館」の構築をめざし「養生訓」や「解体新書」、「魏志倭人伝」などといった希書の画像やテキストデータを提供しています。このような貴重な情報が発信されるということはとても有益なことですが、審査委員会において著作権処理の側面からいくつか議題にのぼりました。一般に著作権は、著作者の没後50年たてばフリーになります。その一方で、校定者や編集者などに対する著作権という側面もあると思われます。このような視点からの著作権処理に対する実状や考え方などを、運営者の方にお伺いしました。

 テキストに関しては、何を底本とするのかを十分検討し、その底本に対する著作権に対してもできる限り対応し、また画像に関しても、基本的には復刻版を使用せず大学や図書館などにあるオリジナルから撮影しているということでした。

 このような活動を通して、運営者の方は「著作権は規定がありますが、出版社などの編集権、画面権、肖像権や公共図書館の所有権ははっきりとした規定がないのでは?」と感じてらっしゃいます。そのため、不必要にきびしく権利を追求される場合もあるのが現状のようです。とはいっても、このような権利に関して、一元的に明確な基準を設けることはそうたやすいことではないでしょう。その一方で、インターネットでの情報公開はどんどん進められており、そのことが人々の共有の財産となっているのは事実です。この運営者の方は、このサイトの「著作権を主張はしていません」とおっしゃっており、基本的に「知的所有権を否定してはいませんが、知的所有物と言われる多くのものは先人の遺産であり、人類のもの」という視点に立たれています。

 また、「江戸歴史散歩」の榎本民夫さんからも同じようなご意見をいただきました。このサイトは現在の東京に残っている江戸時代の面影を榎本さん自らが集めた画像を中心に歴史的な様々な情報が発信されており、歴史などの学習にも活用できる有益なものとなっています。

 この運営者である榎本さんに著作権の視点から質問させていただいたことは、歴史的事象に関する文章についてです。歴史的事象に関する表現には、著作権という視点から判断が難しい場合があると思われます。ある「事実」は誰のことばによってもほぼ同じ表現となりやすく、それが複数の文献を参考として表記されることも少なくありません。

 榎本さんは基本的に文章に関して「二者択一の答えを求められれば、総てオリジナル」としています。これは「歴史的事柄には、伝承、通説、学説が有ると思います。いずれも先駆者達の研究の成果と思います。正しいことも有れば、誤りも含まれているものです。そこには、参考としている文献は必ず有るものです。歴史・文化を『バトンリレー』と考えれば、私は『バトン』を次の人に引き継いでいきたい」という視点にたった結論です。 また、榎本さんは「インターネット上の著作権の議論は、歴史が浅く、これから学説・判例によって確立されて行くもの」と考えてらっしゃいます。

 以上のお二人の意見をご紹介しましたが、著作権に関する問題は、法的な権利の明確な規定だけでなく、著作権者に対する尊厳を忘れず、人類共有の財産としてどう活用していくのかという視点がベースに不可欠であると改めて感じました。

 また、このように実際に情報発信されている方が、著作権に真摯に向き合っているようすを聞かせていただくことはAVCCとしてとても貴重なことでした。

 著作権に関し、法律的な解釈はさまざまあると思われます。しかし、より豊かなネットワーク社会の構築に向けてとても大切なことは、実際に経験されている立場の方々との議論をさらに活発に重ねていくことでしょう。

お忙しい中、貴重なご意見をいただいた運営者のみなさまには厚くお礼申し上げます。


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