◆オフラインミーティング(1997年)◆

 1997年3月29日 good siteサイト運営者のみなさんに財団法人AVCCの事務所(東京都千代田区三番町)にお集りいただき、 サイト運営の現状や課題などについての意見交換を行うオフラインミーティングを開催いたしました。
 みなさんのおかげで千鳥が淵の桜をながめながら、楽しく有意義なひとときを過ごすことができました。
以下はその記録です。(所属・役職名など全て1997年3月当時のものです。)

日 時 1997年3月29日(土) 13:30〜16:00
場 所 AVCC 8F 打ち合せコーナー
参加者 
金森 尚美 様(「ちびなび」)
野間 敏彦 様(「東京都北区立赤羽台西小学校」)
藤井 健二 様(「Welcome to NecoPaPa no HOMEPAGE」)
相沢  勝 様(横浜美術館 「YOKOHAMA MUSEUM OF ART」)
片岡 幸人 様(高知県吾川村 「山里」)
高島 史郎 様(自治大臣官房情報政策室 「NIPPON Net」)
西村美東士 様(昭和音楽大学 短期大学部 助教授)

(事務局) 丸山 修、星野 耕二、野部 栄、山田 瑞恵、三品 美紀



ごあいさつ(AVCC事務局より)
出席者自己紹介
アンケート結果の報告と問題提起(AVCC事務局より)
自由討論
まとめ(AVCC事務局より)


ごあいさつ(AVCC事務局より)
 皆様、本日はお忙しい中この[good site]オフラインミーティングにご参加頂きありがとうございます。本日はネットワーク上に限らない交流の場として、皆様方の色々なご意見をお伺いしながら楽しい一時をお過ごし下さい。それでは、まず初めに私共の[good site]活動について幾つかご説明させて頂きたいと思います。
■ 公共ホームページ[good site]運動について
公共ホームページ[good site]運動の趣旨
 この活動の発端は昨年開催いたしました「第一回公共ホームページコンクール」です。この時、国の機関、自治体、学校等約650サイトの候補の中から26サイトの受賞サイトを選び出しました。その際莫大な情報量の中から有益な情報を探し出すための指標が必要なのではないかと思い、これを機に継続的なものにしようということで、人々の社会参加、自己実現、生活や暮らし等パブリックな情報を発信しているページを奨励していく活動を始める事にしました。
オフラインミーティングの企画意図
 インターネットを取り巻く状況がどんどん変化していく中で手探りながらこの活動にとりくんでおります。このような中で、情報化社会の成熟に何らかのお手伝いが出来ればと思っております。本日は、皆様の自由で忌憚ない生の意見をお伺いし、コミュニケーションの輪を作る場とし、同時にAVCCのなすべき事を探る手だてとなればいいなと考えております。
最近の状況、感じている事等
 [good site]運動に係わって感じた事は、第一回公共ホームページコンクールの「公共」という言葉に対する違和感でした。それは、私達はコンクールに際して中央官庁、地方自治体、学校、生涯学習センターといった「公共」の機関が発信しているページに着目してきましたが、インターネットはどんな立場の人でも「情報」を発信できるという特性によって、発信者が個人であっても公共性の高い情報は発信されているという事に気が付いたからです。現在[good site]を選ぶ基準は1「情報発信者の顔が見えること(必要性が感じられる)2情報の新鮮さ、正確さを追及していること 3双方向性のあるコミュニケーションの場を目指していること 4明確な目的意識をもって発信していること 5わかりやすい構成になっていることの5点です。」

-UP-



出席者自己紹介   *敬称略
金森 
「はじめまして、金森と申します。見て頂くと、子育てのページと間違えられそうですが、まあ間違えられても構いませんが、対象は子供です。家庭と学校の間に立って教えてあげるというより、支えてあげるという観点に立ち子供達をサポートしていきたいと思っています。今のところ単なるリンク集になってしまっていますが、私書箱等を設けて、発信者のそれぞれの環境に応じてのサポートを、今後ライフワークとして続けていきたいと思っています。」
西村
「出費はいくらぐらいですか?また困っている事とかはありますか?」
金森
「費用は在宅の電能内職でまかなっています。私の本意としては、できればスポンサー等の援助なしで続けていきたいと思っています。
西村
「時間的に大変じゃないですか?」
金森
「そうですね。時間のやりくりは今の最大の課題です。」
野部
「金森さんは3人のお子様がいらっしゃいますが、今コンピュータをやっている子供に対しての教育やしつけの面で、良い効果や逆に悪い効果なんかはでていますか?」
金森
「悪い効果はありません。でも、小学3年生の長男が私とは全く別に自分でページを作っています。コンピュータには人によって向き、不向きがあるので皆が皆やればいいというのではなく、私には3人子供がいますけど、あとの2人は興味を示さないので、やりたいと言った子供だけやらせています。」
野間
「東京都北区立赤羽台西小学校の野間と申します。去年のコンクールで教育実践賞を頂きました。学校のページは、一昨年6月にスタートしました。昨年1年間はインターネットエキスポに参加して専用線でやっていましたがその中で、交流の基本はメールかな、と思い学校の話とはかけ離れますが小学生のメーリングリストを作成しました。学校の専用線は去年1年間で終わってしまったので、今は自宅にOCNをひいて、運営しています。学校のHPはとにかく自分が楽しんでやっています。」
野部
「学校で援助はないんですか?」
野間
「そうですね。学校、区での援助は全くありません。この世界は動き出すと止まれないので自分で走り続けるしかないという感じで困っています。ドメインとして自宅の環境を学校に提供しています。4月からインターネットクラブとして学校のHPを子供たちと作っていく予定があります。」
丸山
「100校プロジェクトやこねっとプラン等は一線を画してるんですか?」
野間
「両方とも応募しましたが落ちました。こねっとプランはどちらかというと環境があまり整っていない所が対象なので、応募した時に丁度専用線が入ってしまったのでだめでした。逆に100校プロジェクトの方は、ある程度環境が整っている所が対象でその頃専用線が入ってなかったので、残念ながらだめでした。」
野部
「それでは学校側に対しては、最初から期待はしていないんですね。」
野間
「経済的なものには期待してないんですけど、中身という面では大いに期待しています。先日世田谷の一件がありましたが、私の学校の管理職の方はどんどんやっていい、と言ってくれています。何かあった時には教育委員会に私が言うといってくれていますし。まあ個人名を使う時には教育委員会に了解を得て、手続きをして、基本的な問題を考えた上で掲載しています。」
藤井
「愛知県の豊田工業高等学校の藤井と申します。インターネットを始めたのは一昨年の12月です。96年2月にテニスでアキレス腱を大ケガして外に出たり身動きをとるのが非常に困難な時に、インターネットが非常に役に立つという事を身をもって感じました。まあそういう経験があったこともありまして、何か自分にできないかなあとネタを探していたのですが、教科が数学ということで始めてみたのが、数学の「大学入試問題に挑戦」です。大学入試問題というと難しそうに思いますが、中には中学生でもがんばれば解ける問題が沢山あるので、そういう問題を中心に掲載しています。答えを公表しないので個別にメールでやりとりをしています。数学の記号例えば積分の記号を載せるのに非常に苦労しました。多分この中で一番HPにはお金をかけていないと思います。プロバイダーは年間契約で月4〜5千円程度で、ページはたったの2Mで出来ています。」
野間
「藤井先生のページは画像がなくて文字だけなんですが、非常にきれいで軽い。とても見本になります。」
野部
「今後画像を取り入れていく予定はあるんですか」
藤井
「絵心がありませんし、できるだけ軽いページでいきたいと思っていますので、画像などは必要最小限にしていきたいと考えています。」
相沢
「横浜美術館の相澤と申します。横浜美術館ではある会社に協力を頂いて、95年1月からデータ公開をしました。水戸芸術館が美術館の中で、一番初めにHPを開設しているのを見て、横浜美術館でも何か出来ないか、という影響を受けまして始めました。まず初めに地域の情報誌「ピコラマガジン」(開館当初からの見る 造る 学ぶ機能を生かした子供のアトリエ)を地域だけに提供するのはもったいない、と思い内容をリンク出来たらいいなという発想をもとにHPを作成しました。96年にはアートドキュメンテーション協会の紹介で通産省の情報処理振興財団の実験的プロジェクトに参加しまして、まあ嬉しかった反面、ユニックスマシーンでの管理等、大変だなあと感じました。HPを作成するに当たって一番苦労したというのはまず見本がなかったとう点で、美術館の情報をどういった形で載せようかと考えました。まず内容を美術館の利用案内、施設案内、各種情報、カレンダーの四つに大きく分類しました。実は、インターネットがどういう位置づけかというのは検討中でして、最近感じているのはインターネットがなくても美術館は存在しているのでインターネットは補助的に使うという考えがあります。ですからあまり更新しなくても良い情報を載せていけばいい、という点と先日もあったんですが、突然展示会等の日程の変更があった時など、インターネットは即時に対応出来ますので、とても役に立ちました。これから重要なのは、アイディアであり、インターネットで固定的な情報をベースにした新しい美術館活動を考えていきたいと思います。」
丸山
「美術館のページの中で見ていて、横浜美術館のページが一番面白かったです。わりと美術館等の情報はアーカイブ的な方向とコミュニケーション的な方向に大きく分かれる動きが見られるんですが、昨年のコンクールの審査で、横浜美術館はコミュニケーションに力を入れている所が評価のポイントだったのですが・・」
相沢
「内部で三つの部に分かれていて、連携をとりながら方向性をとっていきたいと思っています。インターネットでは基本的に精細なものを載せるという事はどういう事なのかという議論がもっと必要で、載せる情報の検討が必要だと思います。例えば絵はカタログを見た方が奇麗だし、文字情報と画像情報をどうやって使うのかといった見極めが必要であると思います。」
西村
「しかし、見られないよりはマシなのではないですか?」
相沢
「ディスプレイで何が出来るのか、何をしたいのか? を考えていく必要があって、例えば見るだけでいいんだ、というのならそれに沿った形で掲載していきたいです。」
片岡
「高知県の山奥から参りました片岡と申します。高知県吾川村にHPが出来たいきさつを簡単に紹介します。単に私が個人的に早くインターネットをやりたかったという事もありますが、私は公民館でパソコン教室をやってるんですけど、フリーソフトを使って、コツコツと試作を始めました。そんな時助役から呼び出されて、HPを県内で一番にやるようにと言われまして、1ヶ月でやると宣言してしまいました。やがて高知県にプロバイダーができ、平成8年1月17日に開設しました。当初は中身がなく、コマーシャル的なものでした。みんなに意見を聞いたところ、「つまらない、文章が固い、これでは一般の人は見てくれない」という批判が多く、それならば自分の好きな様に柔らかいイメージで作ろうと思い、写真で、山奥の自然のイメージを写しだそうとして作った所、これが大変好評でした。又、高知県ネットワーク研究会に参加し色々学びながら、今のHPにたどり着きました。村外からの評判が良かったため、更に、小中学生にインターネットを使っての幅広い視野を広げる事ができないか、と予算を申請したら予算がとれました。サイトの運営は、専任担当を置けないという事情から研究会組織で情報を集め、教育委員会に所属する2名でWebに情報を載せています。課題としては、村の人はわりとコンピュータ関係が苦手なので、インターネットやマルチメディア関係等新しい事を皆で一緒にやっていこうという方向をとって行きたいと思っています。
丸山
「公民館の中にいて公民館の事業としてインターネット等の企画をしているのですか?」
片岡
「教育委員会に所属しているので学校関係の本業はありますが、小さい村なのでほとんど公民館に入り浸りで、公民館の行事や社会教育関係で何かある時に出て行くという感じです」
野部
「つくづく思うんですが個人であれ役所であれインターネットというのはほとんど一人でやり始め、それをどう広げていくかという段階に今来ている気がするんですけど、人間の輪という点ではどうですか?」
片岡
「皆見ずに、難しいという考えが先行してしまうんですが、こんな楽しい面もあるんだ、こんな事も出来るんだ、こんな情報もあるんだよ、といった楽しい事があるんだよという形から周りを巻き込んで、やっています。」
高島
「はじめまして。自治省の高島と申します。96年6月から自治体HPの検索システム「地域発見」を開設しました。95年7月からHPを開設した自治体の数を調査してますが、この時34サイトだったのが、96年1月の調査では99サイト、5月では222サイトに増え、現在「地域発見」に登録されているHP開設団体数は468団体と1年間で倍増している状況です。」
丸山
「地域の人にいかに役立つページにするか、それとも外部的なPR的なページにするかとう問題がありますが、高島さんはこの先どうゆう方向に行ってほしいですか?」
高島
「各自治体の考え方次第で、好きな様にやれば良いと思います。しかし、インターネットによる情報公開は、役所用と情報公開用のデータの区別がなくなる方向へ進んでいくのではないでしょうか。」
片岡
「大都市では情報公開といった時に、インターネットは非常に有意義な手段だと思いますが吾川村では、インターネット利用者が10名程度なのでインターネットによる情報公開は難しい状況です。それならば村内の掲示板を利用した方が効果が高いです。今後は、自治体にとっては高齢化社会に対する対策が重要な共通テーマになりますので、そのためには、健保・福祉関係にメール利用、情報公開等を役立たせていく必要があるとは思っています。」
西村
「情報ボランタリズムが支えているんだと思いますが、職業としてやっている人はシステム担当者として採用された訳でもないのに、出来るというだけで、ある面そのまま飼い殺しになってしまう悲惨な事が過去に多々ありましたが、今はそういう例が減ってきました。というのは、インターネットの場合自分の絵心や趣味を組織の中に埋もれないで発揮し、自分の趣味を生かし楽しくやっていく事ができるからです。だんだんと自分らしさ、個性を大切に出来る時代になってきたんだなあと思います。又教育、学校の世界も今考え直す時期で、教師が未熟な人を育てるというより、教師自体が楽しむ、逆に子供たちから学んでいるか、が問われています。私もパソ通で知り合った教員達とのオフラインで「子供達に先生と呼ばせるのは良いのか、悪いのか。」という議論をした事があります。話は変わりますが、最後に主婦や一般の人が何故、インターネットをやるのか?それが分かればそこにあるべき方向の答えが分かるのではないか、という気がします。また、行政は権威に媚びない、権威を笑うものを育てる義務があると思います。[good site]は有益な情報を探し出す為の仕組み作りだという点でAVCCなりの個性ある指標だというのなら構いませんが、選択権は自己決定権であり、市民にあるという事を前提に、AVCCとしての視点で推奨すべきだと思います。公共性については、公的活動とは、個人発信も含めて公的な活動があり、一個人の社会活動です。「教える人は学ぶ人、学ぶ人は教える人(水平異質共生)という関係がインターネットで作れるのかどうか?異質なものが水平にネットワークをすることに、インターネットの活力があると思います。交流する情報は、DBよりも感動、共感するような人の顔が見える生の情報の方が魅力があるのではないでしょうか?」
-UP-



アンケート結果の報告と問題提起(AVCC事務局より)
 アンケートの対象は[good site]マークを貼ってくださっている33サイトで、そのうち23サイトの方からご回答をいただきました。自由記述のアンケートでそれぞれ立場が異なる皆様を対象としているので、簡単にこの場で問題提起となりそうな意見をご報告させて頂きます。環境的には、運営や運営費用捻出をほとんど個人で行っている状況です。組織で発信されている方は、費用に関してはもちろん組織的に出されてはいますが、運営は一人で行っているに近い状況が多いようです。

 今後のホームページの抱負については、双方向性を生かしたコミュニケーションの場として行きたい、という事でした。情報発信が盛んな状況に関してはみなさん良いことではないかという意見が多かったです。問題点として挙げられたのは、有害情報に対するフィルターが必要ではないか(特に教育上)、著作権問題にもからむと思いますが、基本的な情報発信をする上でのマナーの徹底が必要ではないか、個人のプライバシー保護、情報量の多さに対しては可能性が広がるのではないか、とういう意見と無駄な情報が流れすぎている事に対する危惧を抱く両方の意見がありました。

 AVCCの[good site]に関しては基本的に「良い活動ではないか」と言って頂きました。その中で第3者として公平な評価をするのは必要、組織の場合は評価してもらうと上司に対してアピールが出来て良いという意見もありました。また希望としては、個人も組織も企業も同じ土俵で評価するのは無理がある、資金援助等してほしい、リンク集に対する評価重視とならないよう、あくまでもコンテンツ重視すを心がけるべき、「社会情報[good site]」「インターフェース[good site]」等対象を明確にすべきでは? 、著作権が壁になって情報発信が制約されており、何とかしてほしいという意見がありました。自由記述では、公共機関がもっと情報公開をすべき、公立小学校のサイトは地域のヒューマンネットワークの拠点となるべきだという意見がありました。コンピュータ経歴は10年以上の方が多いようです。


-UP-



自由討論
丸山
「藤井先生が著作権問題に関しての意見をアンケートに書いていましたが・・」
藤井
「個人で新聞記事などを利用しようとする場合、著作権の問題で、非常に手間がかかります。教育的利用には窓口が必要ではないか、と思います。先日、大津平野小学校の見学に行非常った時、外国の子供達が日本の子供達に「上を向いて歩こう」を歌ったワンフレーズがあったんですが、後で先生達と話をした時にあれは著作権問題になるんだよという話が出て、非常に厳しいんだなあと感じました。」
西村
「例えばダビングしたテープを正規の教育で学校の授業に教員のみが使うのはオールフリーですが、たとえ講師であれ、公民館でダビングしたテープ等を使うと著作権違反になります。インターネットは正規の教育ではなく、不特定多数になってしまうから難しいですね。」
藤井
「現状では、法律に照らし合わせてみてもグレーな部分があると思います。」
西村
「正規の教育課程でなくても、例えば、教育を目的とした利用には著作権問題はもっと広い解釈が必要だという話は公民館なんかでもよく話題になるんです。」
野部
「Webに関して言うと創作物なのか、それともコミュニケーションの道具なのか?という二つの見解に分かれる気がするんですけど我々は、本質的に皆で物を創り出すという事を学んできていないのではないでしょうか?まず初めに、Webやメールを使って本当にコミュニケートできてるのかの確認が必要で、次にその中で方向性、可能性、どういう弊害があるのかという整理が必要だと思います。」 「皆さんの意見を聞いていて感じたんですが、ボーダレスであって、色んな異なる立場の人が出くわしている状況の中で、同じ興味を持つ人が結びつき始めている段階なんだなという気がします。ネットワークの世界では誰が先生で誰が生徒というのはなくて、このオフラインミーティングの場ではこれまでやってきた事で、こういう喜びがあったとか、発見した事等の話をした方が限られた時間の中で、実りがある気がするのですが、金森さんどうですか?」
金森
「この会議に出席してとってもよかったなあ、と思いました。野間先生は写真で見たことはあるのですが、今日お会いして本当は思っていたより淡々とした先生なんだなと思いました。そういう意味でこれからオフラインのような類のコミュニケーションを意識した上で運営し、バーチャルでない所と接点を持って行きたいと思います。インターネットが複合メディアであるならば、現実と複合メディアの兼ね合いを、より現実的にコミュニケーションがとれるように持って行きたいと皆さん考えていると思うんですけど私もそうして行きたいです。」
野部
「野間先生は子供達とHPをやっていて、面白い事とか皆に伝えたい事とかはありますか?」
野間
「あまり難しいことは考えてないんですけど、子供たちはとても楽しんでやっているけれど、とにかく自分も本当に楽しんでやっています。」
野部
「御自身で学校で教えているという事とどういう所で結びいて、どういう所から自由になるんですか?」
野間
「中学で美術を教えていたんですけど、あるきっかけで小学生の絵を見たことがありまして、その時に小学生はこんなにエネルギッシュな絵を書くのか、と大変ショックを受けましていつか子供達の絵を使ってインターネットやりたいと思っていたんです。それが出来るようになったのが一昨年の5月なんですが、学校のHPよりも先に子供美術館のHPを開設しました。面白い例として、子供美術館という名前だったので、子供から子供美術館へ行きたいのですが、どこにあるんですか?という問い合わせのメールがきたことがあります。」
野部
「インターネットがなかった頃というのはどこかに図工の作品を集めるとかしていたと思うんですけどその頃との違いはあるんですか?」
野間
「作品が本物じゃない点ですけど、選択判断によって変わってきます。学校で展覧会に出す時はこういう絵を出すけど、ページに載せるには広がっちゃうとか狭まるとかはあります。」
西村
「作品の選択基準は変わってきますか?」
野間
「あまり意識しませんが、まあ、学校の展覧会の絵は子供が選びますけど、子供美術館の作品は私が選びます。」
野部
「地理的に一番遠い所から来たメールはどこからですか?」
野間
「海外からよく来るんですけど、何がかいてあるのか良く分からないんです。国内では札幌ですね。それをきっかけに札幌の人達と交流を始めました。」
西村
「有害情報の問題がありましたけど隠した方が良いんでしょうか?コミュニケーションの中でお互いが高まって行くには、排除するのではなく自由にする中で力がついていくんじゃないですかね?」
野部
「何が悪いというのは誰が決めるのか?という問題がありますよね。京都アスニーでは女性の目から見た、ヌードの美術に関するビデオを作っているんですけど、やはり自治体関係ではヌードのページが良いのか、悪いのかという問題があるようです。皆さんの職場ではどういう考えをお持ちですか?」
西村
「端末を自由に触らせない、市民発信型がいけないというのは、有害情報を流されたらどうするのか?とう問題から発生しているんです。」
相沢
「館内に端末を置く予定はあるんですけど、色々な美術館とリンクして見るのは良いけど、ヌードに係わらず他の情報に外れた時にどうするのか?という問題はあります。有害情報に関しては、人と人との関係の中で教え行きたいです。監視員を置いて人間で対応して、周りの環境の反応の中で子供に教えてあげたいと思います。」
野間
「そうですねえ。もし子供が見ている場面に私が出会ったら駄目とは言いませんけど、人前で見るものではないという事は言います。」
藤井
「やはり学校、家庭でどう教えていくかが必要だと思います。」
野部
「人間関係の中で、今まで繋がっていなかったが、繋がった事で明らかになる面があると思うんですよ。しつけや有害情報も人間的な環境の中で決めていくものですよね。全てのモラル、約束事等をもう一度作り直していく必要がありますよね。」
片岡
「公開用に一台置いてるんですけど、やはり人が居る前では見ないだろう、という前提で置いています。教育委員会という立場から、先生は気にされます。ですから、それぞれの現場で方針を決めて、バックで支援する立場でやっていけば良いと思います。」
野間
「今度三鷹市でCATVで小中学校全部繋いだんですけど、その説明会に行った時先生が登録したサイトしか見れないという事を聞いて、それでは全然インターネット的ではないし、自分で発見出来る物がなければ全然意味がないと思いました。」
金森
「簡単に母親の立場で言わせて頂くと、結局機材は変わるけれど原則は変わらないと思います。子供がどういう価値観を持つかというのは家庭で教えるべきで、一個人の責任を植え付けてあげる事が大事だと思います。インターネットの利用目的を教える事が大切なので、自分の探したい物が見つかるものだという認識は教えています。価値観はインターネットだからといって変わらないし雑誌にしろ、TVにしろみんな同じだと思います。」
西村
「結局自然に情報がどんどん来てしまうのだから、叱ることよりも日頃から性教育をする必要があると思います。」
野部
「逆に良い情報、意味ある情報はどうやって見つけたら良いんですかね?」
藤井
「それをAVCCさんに期待しているんですけど、大分前に聞いたことですがアメリカには教育用ソフトを3つ星、2つ星等で具体的に評価する機関があって、そこはわりとメジャーな所なので、そこに選ばれると良いソフトだと判断されるという話がありましたけど、まあそれが全て良いとは言いませんけど何か評価してくれる所があるといいと思います。」
野部
「AVCCがインターネットに関心を持った理由というのは、10年前から推進している生涯学習情報提供システムの二次情報DBは、本当に役に立っているかどうか、という疑問を感じたからなんです。一年近く色々なページを見ているけれど、個人の方が良いページが多い。だけど、役所が評価した場合、つまらない結果が出てしまうのでは・・」
高島
「同感です。第三者機関がこういう情報は見た方が良い等、提案するのは良いけれど、どのような形態であれ国が内容について評価すべきではないと思います。国が評価を行うとそれには多かれ少なかれ権力の介入が生じてしまうのでは?それは絶対に避けるべきだと思います。」
片岡
「しかし、どんなつまらない情報でもそれを必要とする人は必ずいるという視点は絶対に外してはならないと思います。アクセス件数の評価ではなくて、その活動に対する評価は重要だと思います。」
野部
「藤井先生のページは反応を図るのはどういうドメインから見に来ているか、というのとどういうメールが来ているのか、等あると思いますが、どういう人が自分のページを見に来てくれて、必要としているのですか?」
藤井
「小、中学生に見てもらいたいんですけど、わりと学生、社会人が多いです。今は小学生も段々と増えていて、個別にメールでヒントを出したりする、やりとりが楽しいです。」
野部
「AVCCにも先生の問題をメールは出していないかもしれませんけど、プリントして解いている職員がいるんですよ。」
西村
「それは、インターネットを楽しんでやっているという面で良い事ですよ。」
丸山
「公的サイトに何か期待する事はありますか?」
藤井
「インターネットは地方に住む者にとっては大変役に立つものですから、例えば地方の人が根津美術館に行きたいといった時に、基本的な内容は揃えて欲しいです。端末の前では皆平等だから、知りたいと思った時に好きな情報が得られる、基本的な素材を揃えて欲しいと思います。知りたいと思った時に情報提供する場を公的な所でやってくれると学校サイドとしては嬉しいです。」
丸山
「横浜美術館は本町小学校(横浜市立本町小学校=「第一回公共ホームページコンクール」で教育実践賞を受賞)と連携してインターネット活用考えていますか」
相沢
「ピコラマガジンのバックナンバーをある程度とって100校プロジェクトにメールで出したんですが、10通程返事が返ってきまして、結果小学校に出向いていって、子供のアトリエをやるという基本計画が出ています。インターネットに限らず美術普及をして行きたいです。今日、藤井先生の要望を聞いて驚いたんですけど、まずは文字情報から出して行こうと思います。」
西村
「アクセスした人が、人に知られたい、認められたいというのが満たされるのは大きな事で、そういう仕組みは魅力の条件だと思います。(双方向性)」


-UP-



まとめ(AVCC事務局より)
 今までの活動を通して個人的に一番感じたことは、正直申しますと個人レベルで発信する情報をもっている人がこんなにもいるのか、という驚きの気持ちでした。インターネットが注目され始めた時、「発信する情報を持つべき人」がいかにいるかがインターネットの将来を左右するのではないかといわれておりました。今まで情報の受け手であった一般の人々が情報を発信する立場になるということは、とても画期的なことでもありますが、半面とても難しいことでもあったと思います。この[good site]の活動をやってまいりまして、個人の方が発信されているページでとても充実したものにたくさん接することができました。

 また、今回の[good site]の発信者は個人の発信者はもちろん、組織で発信している場合でも、個人の方にかなり負担が、金銭的にも労力的にもかかっている場合が多いという実情もよくわかりました。そして、このような状況でも「情報を発信しよう」というみなさんの情熱がいったいどこから来るのか、本当にすごい事だなと思いました。

 こんな中でわたしたちAVCCは何をすればいいのかと考えましたが、「がんばれ、がんばれ」とみなさんを応援することにつきるのではないかと思いました。大それたお手伝いはできませんが、陰ながらこれからもみなさまを応援していきたいと思います。
 本日はお忙しいところほんとうにありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

オフラインの様子 藤井先生と野間先生のご対面
オフラインのコミュニケーションはまた格別。
ミーティング終了後も窓の外の桜と夜景を
眺めながら延々とWeb談義がつづいた。
インターネットを通じての知り合いだった
豊田市の藤井先生と東京の野間先生の「ご対面」

-UP-


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